2005年7月8日 中日新聞夕刊より

三重県が取水虚偽報告


三重県桑名市の長良川河口堰(ぜき)に水道の水利権を持つ同県が、
おひざ元の北勢地域五市町の上水道を「長良川から取水している」と
国土交通省に報告していたが、実際は工業用水で、
上水道には木曽川の水を給水していることが分かった。
この虚偽報告は二〇〇一年度から続いている。
同省は「水利権の許可内容に反する」として、八日にも県に事情を聴く。

県は〇一年度から、河口堰を水源とする水道供給事業を北勢地域で運営。
給水能力一日六千四百トンの水利権を確保し、桑名、四日市市と
川越町、朝日町、木曽岬町に給水している。
河川管理者の国交省によると昨年の五市町への給水実績は
一日平均約二千八百五十トン。

今年一月、県が同省に提出した水利使用許可の更新申請資料には、
河口堰に上水道の取水施設がないため、やや上流の工業用水取水口から
播磨浄水場(桑名市)へ送り、五市町に給水するルート図が添付されている。

だが県によると、実際は長良川で取った水は工業用水に用い、
河口堰分の上水道水は、木曽川で余分に取水していた。
五市町には河口堰からの水道水は届いていない。

県企業庁は「上水道の取水・導水施設の建設にかかるコストを削減するための措置。
導水管の中で上水道と工業用水を貸し借りするだけで、
配水運用は県の自由。国も申請時に承知している」と主張する。

一方、国交省は「そんなことは聞いていない」と話し、
「河口堰の水利権は、上水道用に許可している。
事実なら、県の運用は許可に反する」としている。

■水道事業に詳しい伊藤達也・金城学院大教授(人文地理学)の話 
需要のない長良川の水を「ちゃんと水道に使っています」とアピールするための操作。
住民が河川とのかかわりを深めていく時代に、飲み水の水源を隠すのは問題だ。

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翌日の新聞記事で
松阪市や一志町でも長良川河口堰の水は使っていなかったと報道されました。


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