八ッ場ダム計画をめぐる現状
八ッ場あしたの会 森 明香


↑八ッ場ダム建設予定地
(八ッ場あしたの会HPより転載)

 1. 八ッ場ダム計画
 浅間山、草津白根の山麓に水を集め、関東平野の入り口で利根川に合流する吾妻川に計画された多目的ダム計画。治水・利水を目的としており、埼玉県、東京都、千葉県、群馬県、茨城県、栃木県の一都五県に水道用水、工業用水として供給される。
 総貯水量1億750万m3、堤高116m、堤頂高285mの重力式コンクリートダムで、建設に伴い長野原町5地区340世帯が水没する(川原湯・川原畑は全水没、横壁・林・長野原は一部水没)。




2. 八ッ場ダム計画をめぐる歴史
八ッ場ダムは1947年のカスリーン台風による水害を契機として構想された。吾妻川が強酸性だったため一時中断されたが、中和工場の完成に伴い1965年に再浮上した。水没予定地では反対運動が展開されたが、一方で条件闘争も展開された。地域柄、ダムの是非は福田・中曽根・小渕各氏の政争の具とされてもきた。85年には町がダム建設に合意し、92年には反対派住民も「反対」の旗を降ろすことになる。
1994年からダム付帯工事が始まったが補償交渉は難航、補償基準妥結をみたのは2001年だった。
3. 現地の状況
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※現在の国道・鉄道は本体工事現場内にあり、国道・鉄道を廃止しない限り本体工事着工はできない。進捗状況のみを見ても、2015年にダムを完成させることは非常に困難。

4. 政権交代による八ッ場ダム注視政策を地元住民はどう受け止めたか?
◆ダム推進派・・・
→地元有力者や土建業者などが主。怒りや危機感が大きい。八ッ場ダム推進吾妻住民協議会の発足やダム中止反対の署名集めを行っている
◆ダム中止賛成派・・・
→地元では少数派。村八分、バッシングが公然と行われている現状では、マスコミなどの取材を敬遠する人が多く、表に声が出にくい。
◆その他多くの住民・・・
→不安や焦燥感が大きい。ダム事業を前提とした生活設計が根底から覆り、途方に暮れている。(ダムがらみの仕事、補償金、代替地への引越し等どうなるか?という思い)
57年間のダム事業による政治不信から、前原大臣の言葉を信じられない。国、群馬県の従来の説明と新政権の政策とのギャップに戸惑い不安を覚えている。

5. 八ッ場ダム問題解決のために求められるもの
生活再建・地域振興案の具体化、ダム事業実態の情報公開、ダムの必要性の多角的検証
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「関連工事の進捗状況」八ッ場あしたの会主催「ダムに負けない村 第三弾」2009/07/20配布資料より引用、「国土交通省による今後の予定」会報vol.7より引用
2009/10/08八ッ場あしたの会定例会レジュメより、事務局の許可を得て参照した