伊藤孝司写真展 環境破壊大国・日本


伊藤 孝司 (フォト ジャーナリスト)
E−MAIL earth@jca.apc.org


20世紀、人類は物質的な豊かさや便利さと引き換えに環境破壊を続けてきました。その結果、地球環境は温暖化などによって危機的状況に陥りつつあります。そのことを反省し、日本でもさまざまな取り組みが政府・企業・民間でおこなわれるようになりました。無駄な公共事業の一部は見直され、川や海の自然は少しずつ回復し始めています。ところがその日本は、アジア各地で大規模な環境破壊をおこなっているのです。しかも被害は、先住民族が受けていることが多いのです。
 
私は、1999年〜2000年にかけて台湾、オーストラリア、フィリピン、ロシアで、日本による環境破壊の四つの異なるケースを取材しました。そこで姿が浮かび上がったのは、自らの利益のためにアジア各地で環境破壊を続けているという日本の姿です。


=開催期間・会場=
2001年6月28日〜7月10日
ドイフォトプラザ渋谷(03−3496−5141) 入場無料

パネルは全紙(37×55センチ)50枚の予定です。会場で、私が撮影してテレビで放送した映像を上映する予定です。
 写真展の内容は、岩波書店発行の『世界』7月号(6月8日発売)にグラビア8
頁・本文2頁で掲載します。これをご覧いただければ、およその内容がご理解いただ
けると思います。
 伊藤が会場にいる日は6月28日から7月1日は確実ですが、それ以外は不確かです。取材にいらっしゃる場合は事前に伊藤ないし会場にご確認ください。 東京での開催の後、各地で開催する計画もあります。

=イベント=
トークショー「アジアの環境と日本」  7月1日 午後1時〜  写真展会場内
 
 入場無料
発言=伊藤孝司、地球の友ジャパン、ノーニュークス・アジアフォーラム、その他

=協賛団体=
地球の友ジャパン
ノーニュークス・アジアフォーラム

=展示写真内容=
<フィリピン>
フィリピンのルソン島北部に先住民族・イバロイの暮らす村がアグノ川沿いにあ
る。村の下流では、アジアでも最大級という巨大なサンロケダムの建設が急ピッチで進んでいる。このダムが完成すると村の一部が水没するだけでなく、上流からの土砂が堆積して洪水時には大きな被害が出ると危惧されている。かつて建設された上流の二つのダムは大量の土砂で埋まってしまった。すでに移住し
た人たちの生活はうまくいっていない。村人たちは建設に強く反対している。 このダムは日本の政府系金融機関・国際協力銀行の融資によって建設されている。国際協力銀行の資金は、郵便貯金・簡易保険や厚生年金・国民年金といった財政投融資が使われている。つまり日本国民が預けた金が使われた結果、フィリピンの自然と住民の生活を破壊しつつあるのだ。

<ロシア>
 ロシア極東のシベリアに果てしなく広がるタイガ。今、この森林が無秩序な伐採によって危機にひんしている。そして、この森林に依存して暮らす先住民族・ウデゲたちの生活が脅かされている。 ソ連の崩壊により盗伐が横行し、許可を得ている伐採でも乱暴な方法が行われている。しかも森林を管理している営林署が、職員の給料を支払う金がないために自ら伐採を行っているあり様だ。そのため森林は再生できず、アムールトラなどの野生動物は減少。 こうして伐採された木材は、日本などが輸入している。しかも、熱帯材の輸入を国際社会から批判された日本は、シベリアで伐採されたロシア材の輸入を増やしつつ
ある。日本での木材と紙の大量消費が、シベリアのタイガを消そうとしている。

<オーストラリア>
 オーストラリア北部に広がるカカドゥ国立公園は、ほぼ四国と同じ面積がある。湿原や岩山などの自然が広がり、野性動物の楽園である。また、先住民族・アボリジニたちが2万年前から描き続けている岩絵が数多くある。そのことで、ユネスコの「世界自然・文化遺産」に登録されている。 ところがその真ん中で、ウラン鉱山が2001年からの操業を準備してきた。ここで採掘されるウラン鉱石の多くは、日本の原子力発電所で使われる予定。「聖地が破壊される」として、土地の所有者でもあるアボリジニたちは操業開始に強く反対してきた。操業中止を求める国際的な声の前に、鉱山会社は「10年間の凍結」を表明したが、鉱山の売却によって凍結が解除される可能性もある。

<台湾>
 台湾の北端にある風光明媚な台北県貢寮郡で「第4原発」が約30%まで完成。建設現場は約1万人が暮らす町と隣接している。今まで操業してきた3カ所の原発で数多くの事故が起き、「第2原発」では排水口付近で大量の奇形魚が発見された。そのため、貢寮郡の住民たちは建設に強く反対。また建設現場内に祖先の残した遺跡が数多く残る先住民族・ケタガランの人たちも反対運動を続けてきた。 この「第4原発」は、日本による初の原発輸出によって建設されようとしている。政権についた民進党はこの原発建設中止を表明したが、野党によって撤回をよぎなくされた。世界の趨勢は脱原発へと確実に向かっている。そうした中、日本の政府と原発メーカーは、日本国内で売れなくなった原発をアジア諸国へ売りつけようとしているのだ。


=発表した雑誌・放送・書籍=
<フィリピン>
『週刊金曜日』2000/5/19・26 「日本の融資が先住民族の暮らしを破壊する」上・下
『きょうの出来事』日本テレビ 2000/5/11 「巨大ダムで村が消える」

<ロシア>
『フライデー』2000/11/10 「シベリア・タイガを日本が乱発している」
『週刊金曜日』2000/11/3 「奪われる先住民族・ウデゲの森」
『きょうの出来事』日本テレビ 2001/1/26 「森が消えていく!」

<オーストラリア>
『フライデー』1999/7/9 「日本の原発から世界遺産を守れ!」
『週刊金曜日』1999/8/6 「日本の原発のために破壊されるアボリジニー聖地」
名古屋テレビのニュース番組での特集
風媒社ブックレット『日本が破壊する世界遺産』

<台湾>
『フライデー』1999/3/26 「ニッポンの原発輸出に揺れる台湾を緊急ルポ」
『週刊金曜日』1999/4/2 「原発輸出は第二の侵略」
『筑紫哲也ニュース23』TBS 99/3/16 「原発輸出の台湾で何が?」
『世界』1999/8 「ついに始まる日本の原発輸出」
『月刊オルタ』2000/2 「脱原発へと舵を切った台湾」
『週刊金曜日』2000/2/23 「台湾第四原発の運転再開でカギを握る日本政府の姿勢」
風媒社ブックレット『台湾への原発輸出』
『フライデー』2000/12/15 「10万人大デモで原発建設中止」
『週刊金曜日』2001/1/26 「陳水扁政権 脱原発への挑戦」
           


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