公共事業改革に関してのNGOへの緊急アンケート・結果発表

2001年7月25日

五十嵐敬喜(法政大学法学部教授)
天野礼子(アウトドアライター)
宇井純(沖縄大学法経学部教授)
荏原明則(神戸学院大学法学部教授)
大熊孝(新潟大学工学部教授)
河野昭一(京都大学名誉教授)
嶋津暉之(東京都環境科学研究所研究員)
藤原信(宇都宮大学名誉教授)
高田直俊(大阪市立大学工学部教授)
保母武彦(島根大学法学部教授)
松永勝彦(北海道大学水産学部教授)
水口憲哉(東京水産大学助教授)
山口二郎(北海道大学法学部教授)

NGOの皆さんに協力を求めた"緊急アンケート"には、以下のように回答が寄せられました。当初、記者会見等をし、政府や各政党の代表者の方々に持ち込むことを計画していましたが、回答数が少なかったため、各政党の代表に面会を求めるなどすることは無理があると考え、アンケートの集計に協力してくださった「公共事業チェックを求めるNGOの会」のホームページに掲載させていただき、各政党には、インターネットを使用して持ち込ませていただき、政策に反映していただけるようにお願いすることにいたしました。
 アンケートの集計と回答の全文を以下に報告いたします。


 個々の設問への全ての回答については、
表の下の設問をクリックするとご覧いただけるようにまとめてあります。

長良川DAY2001会場での回答数  26 21.8%
FAXによる回答数 29 24.4%
メールによる回答数 56 47.1%
郵送による回答数 8 6.7%
合計回答数 119
T 個別事業について
1. 全ての事業をいったん中止し、改めてどんな事業が必要か、
住民参加で決めることができるよう、
政府、全党、都道府県に要望することについて
賛成する  113 95.0%
賛成しない 6 5.0%
2. 政策評価内容や方式の改良は必要か。
必要  99 83.2%
不要  12 10.1%
不要の内訳 審議会が信用できない 5
審議するまでもなく全て止めるべき 4
その他 3
回答なし、その他 8 6.7%
U システム改革について
1. 総量規制についての塩川財務大臣の政府意見について
賛成する  54 45.4%
賛成しない 51 42.9%
賛成しないの内訳 2%という数値よりも事業の中身が問題 19
これでは手ぬるい 8
政府のいうことは信用できない 5
日本と欧州とは違う 3
その他 10
回答なし、その他 14 11.8%
2. 中長期計画について、
原則的に廃止する方針を示したことなどについて
賛成する  78 65.5%
賛成しない 27 22.7%
賛成しないの内訳 これでは手ぬるい 9
長期的な視野にたって進めるべき 5
景気が回復したら公共事業が増える 3
政府のいうことは信用できない 2
その他 8
回答なし、その他 14 11.8%
3. 道路整備特定財源の見直しあるいは一般財源化について
賛成する  82 68.9%
賛成しない 24 20.2%
賛成しないの内訳 もはや道路の予算は要らない 4
一般財源化でなく廃止すべき 4
一般財源化でなく環境目的税へ 4
政府のいうことは信用できない 3
未整備な道路はまだ多い 3
その他 3
回答なし、その他 13 10.9%
4. 道路公団、水資源公団、本四連絡橋公団など
特殊法人や認可法人の民営化について
賛成する  74 62.2%
賛成しない 26 21.8%
賛成しないの内訳 民営化ではなく廃止すべし 12
天下りなど官民癒着の危険あり 3
水資源の管理は民営化はできない 2
その他 9
回答なし、その他 19 16.0%


公共事業アンケート 設問および全回答(設問をクリックしてください)

T 個別事業について


1 小渕内閣以来の公共事業ばら撒き政策によって無駄な公共事業が一層進んでしまい、それによって地方財政も国の経済も悪化しました。市民側はこれらの公共事業のうち、ダム等については、「吉野川の住民投票」や"脱ダム宣言"支援などで対抗してきましたが、今後はダムだけでなく道路、港湾、空港など、全ての事業をいったん中止し、改めてどんな事業が必要か、住民参加で決めることができるよう、政府、全党、都道府県に要望したいと思いますがいかがでしょう。


2 1995年の建設省の「ダム審議会」、1997年の北海道の「時のアセス」採用など、国や自治体では「政策評価」が盛んになってきました。1の見直しにあたってはこの政策評価が不可欠になると思いますが、この内容や方式の改良(従来は「評価」の名前で無駄な公共事業がかえって進んだ)は必要でしょうか。


3 その他、個別事業のあり方について何か意見がありましたら自由に記載ください。


U システム改革について

1 総量規制について、塩川財務大臣は公共事業の総量を「今後10年間にGDPの2%に抑えたい」といっています。これはほぼヨーロッパ並みの水準にするということですが、日本は現在6ないし7%くらいですから、これを3分の1くらいにするということです。これについてどう思いますか。(公共事業改革には賛成だが、政府意見では物足りないという場合は賛同しないに○をつけて理由も書いてください。以下の設問についても同様に。)


2 同じく塩川財務大臣は12次道路整備五カ年計画をはじめとする16本の中長期計画について、「大半は2002年度に期限切れとなるので03年度以降はやらない」と述べ、現在の計画の終了後、新規に策定せず、原則的に廃止する方針を示し、さらに03年度以降の公共事業の進め方について「法律を作り予算で裏付けることはせず、毎年内容を更新する」と説明、経済情勢の変化に柔軟に対応する考えを明らかにしました。これについてどう思いますか


3 おなじく約6兆円の道路整備特定財源について、必要があるからというより予算があるから道路が造られているとして、見直しあるいは一般財源化が言われています。これについてどう思いますか。


4 これらに伴ない道路公団、水資源公団、本四連絡橋公団など特殊法人や認可法人の民営化がいわれています。これについてどう思いますか。


5 以上の改革について「改革すべし」と答えた方にお伺いします。周知の通り、これらの改革については、官僚、企業、族議員といったところだけでなく、自治体の長なども猛烈な反対をはじめました。また失業や不況の促進も避けられません。道路公団の25兆円をはじめとしてこれまでの666兆円の他に、およそ300兆円にも上る隠れ借金の処理の問題もあります。これらについてどのように考えていったらよいでしょうか。


6 その他、市民側で積極的に改革案を打ち出すとしたらどういうものがあるでしょうか。

V "ポスト公共事業"社会の設計について

1 どのような立場に立つにせよ、今後公共事業や地方交付税の削減は避けられません。その場合、公共事業関係者だけでなく、自治体も大打撃を受けます。おそらく過疎自治体などはほとんど生きていくことができなくなるのではないかといわれています。こういう問題についてどう考えますか。


2 私たちは、自然破壊型公共事業なしでやっていく社会を目指し、報告書「ポスト公共事業」を挙げています。あなたは"ポスト公共事業"社会としてどのような社会をイメージしますか。


W まもなく参議院選挙が行われます。

1 これについて市民側は、どういう取り組みをしたらよいでしょうか。


2 小泉改革に対してどういうスタンスをとりますか



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