私の見た長良川の印象      ヘンク・サエージ


 長良川には全ての人間の介入を考慮に入れ、適切な管理母体による流域全体を通しての
しっかりとした水系管理が存在しないように見える。
水は人間の使用のための資源としてしか見られていないようだが、
生態系の中で重要な役割を果している点はどうなっているのか。
長良川河口堰は淡水と海水の間においてはっきりとした線を引いてしまった。
それにより汽水域(次第に淡水に海水が混ざっていく部分)が失われてしまった。
結果として自然の生産性が減少してしまった。
健全な長良川の機能は汽水域と潮の活動を取りもどすことにより果すことができるようになり、
隠れている資産、自然がうみだす宝を表にだしてやることができるようになる。
この宝は、今はどこかに行ってしまっているが、
必ずや地域の経済、生態系、社会にとって重要な役割を果すことができ得るはずである。
生態系的に見れば、長良川河口堰は時代遅れである。
私と共に日本にきたウェグナー氏も同様のことを言っている。
もし、長良川の河口部が30kmに渡って再生されたら、
自然による生産物の売上高は年間で3600万ドルとなろう。 
もし長良川河口堰のような事がわが国で起こったらどうしていただろうか。
多分私としては以下のような助言をするだろう。   

長良川河口堰を真剣に考え直さなければならない。
ダムがあろうが無かろうが、淡水と海水が次第に混ざり合う汽水域を回復することを考えるべきだ。
地域全体の発展や管理を考えて長良川河口堰の役割を考え直さなければならない。
そしてその選択が汽水域の回復であるなら、その実施は実験から開始し,慎重に行わなければならない


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