水需要予想で矛盾(大阪府)
「伸びる」―― ダム開発
「頭打ち」―― 水道値上げ

10月2日 毎日新聞 夕刊一面トップ記事より


大阪府が作った水の需要予想には2種類が存在し、ダムなど水源
開発のためには「今後も需要は伸びる」とする一方、水道料金値上げ
の根拠としては「需要の頭打ち」を挙げ、互いに矛盾していることが、
市民団体「関西のダムと水道を考える会」(野村東洋夫代表)の調査
で分かった。実際の水使用量は横ばいの予想量も下回っており、ダム
建設計画の見直しを求める声が強まっている。

大阪府は現在、1日223万トンの水利権を確保しているが、今後も丹生
ダム(滋賀県)、安威川ダム(大阪府)などの開発で1300億円を投じ、
紀伊丹生川ダム(和歌山県)にも参加して、2010年度には水利権を
269万トンまで確保することを目指している。

府の水源開発の根拠は「水需要の伸び」。2月にまとめた水道整備計画
によると、約200万トン前後で推移してきた1日最大取水量の実績値が
急激に右肩上がりに転じ、05年度には243万トンに達する。
一方、府は水道料金18%値上げ前の99年、実績値が横ばいで推移する
年間販売水量を予想。これを基に「考える会」が1日最大取水量を試算
すると、99年度205万トン、04年度は約207万トンとなり、水道整備計画
の予測を大きく下回った。
しかも、取水実績値は、99年度195万トン、00年度194万トンで推移し、
ギャップはさらに拡大。試算では10年ごろには約50万トンに広がる
見通し。

「考える会」は「2月の需要予想はダム計画を継続するための恣意的な
もの」と批判している。

【大島秀利、山田泰正】

●水源開発問題全国連絡会の嶋津暉之さんの話
「大阪府は水洗便所の普及率が90%以上に達し人口も頭打ちなので、
急激に水需要が増えるのは非現実的。過剰なダム建設は、水道料金
値上げを再び招く。

●大阪府水道部の話
「水道整備計画のための需要予想は、自己水源を放棄する府内自治体
が増え、一人当たりの使用量も増えると考えたから。水道料金値上げの
根拠とした予想は、料金収入を過大に見積もらないよう予想した。二つの
予想は性格が異なる。水需要予想は状況を見て見直す。


ホームへ戻る