下記の申し入れの掲載サイト http://www.maff.go.jp/www/houdo/houdo/houdou010831.htm


( 申し入れ 1 )
 
 
平成13年8月27日
株式会社集英社
 発行者 谷山尚義殿
 
農林水産省大臣官房広報室長
稲田 光
農林水産省農村振興局事業計画課長
斉藤晴美
農林水産省農村振興局農地整備課長
南部明弘
 
 
「いらない」に対する農林水産省の申し入れについて
 
 標記書籍については、下記の事項について、見解の相違を超えて、事実と異なる点があり、極めて不適切な表現と考えられますので、記事の訂正を求めるとともに、本通知の内容については、著者である天野礼子氏にも確実にお伝えいただきますようお願いいたします。
 なお、この申し入れについては、国民に正しい認識を持っていただくためにも、当省のホームページに掲載し事実関係を明らかにしていくこととしております。また、貴社からの回答についても、同様に掲載したいと考えておりますのでご承知おき下さい。
 
 
 p.25 11行目〜 「今では国土交通省でさえ、『かつての諫早湾大水害のような上流の市街地の被害を防ぐ効果が潮受け堤防にあるかは疑問である』と明言する。なぜならばあの堤防は、河川の排水が海に出ることをむしろ妨げるものでしかないからだ。そんな『上流からの洪水時には治水上かえって危険な堤防』を造ってしまって、諫早湾はどうなったのか。」との記載について
 
(1)諫早湾周辺地域は、極めて低平地であることから、これまで幾度となく高潮・洪水の被害を受け、また潮汐の影響及び既存堤防の排水樋(ひ)門の前面におけるガタ土の堆積によるミオ筋(流路)の埋没によって円滑な排水に支障が生じていました。
   諫早湾干拓事業で造成した潮受堤防は、排水門の操作により調整池の水位を標高マイナス1メ−トルで管理することにより、伊勢湾台風級の高潮と過去最大といわれる昭和32年の諫早大水害時に相当する洪水が同時に発生した場合にも高潮の影響を受けることなく、洪水を調整池に一時貯留する能力があり、貯留した水を干潮時に安全に排水し、諫早湾周辺低平地の洪水による被害を軽減するものです。加えて、周辺低平地の標高は低いところで標高マイナス0.5メートル程度であるため、調整池の水位を標高マイナス1メートルで管理することにより、周辺低平地からも潮汐(せき)の影響を受けることなく常時の排水を可能としているところであり、標記書籍の記述は事実と異なります。
 
(2)また、「今では国土交通省でさえ、『かつての諫早湾大水害のような上流の市街地の被害を防ぐ効果が潮受け堤防にあるかは疑問である』と明言する。」とありますが、その根拠を示していただきたい。
   なお、平成9年6月4日第百四十回国会衆議院建設委員会において、建設省河川局長は、「今回の潮受け堤防によりまして、調整池の水位がマイナス一メートルに保たれておりますので、諫早水害のときは海面の高さが二メートル五十まで上がっております。そういう意味合いでは、そこのところの調節能力によりまして改善される面が出てくるというふうに思います。」、「上からの水の議論でございまして、上からの水も最終的には海面に着きますので、この海面の水位がどこにあるかというのが非常に大きく影響いたします。それで、ここではマイナス一メートルまで水位を下げておりますので、そういう意味合いで、治水上の効果が期待できるという理解でございます。」(建設委員会議事録抜粋)と答弁しているところであり、標記書籍の記述は事実と異なります。
 
 

( 申し入れ 2 )
 
 
平成13年8月27日
 
株式会社集英社
発行者 谷山尚義様
 
農林水産省大臣官房広報室長
稲田 光
林野庁経営企画課長
島田泰助
林野庁整備課長
関  厚
 
 
「いらない」に対する農林水産省の申入れについて
 
表記書籍については、下記の事項について、見解の相違を超えて、事実と異なる点があり、極めて不適切な表現と考えられますので、記事の訂正を求めるとともに、本通知の内容については、著者である天野礼子氏にも確実にお伝えいただきますようお願いいたします。
 なお、この申し入れについては、国民に正しい認識を持っていただくためにも、当省のホームページに掲載し事実関係を明らかにしていくこととしております。また、貴社からの回答についても、同様に掲載したいと考えておりますのでご承知おき下さい。
 
 
 
1 p104 4行目〜 「この残った1兆円を返済するために林野庁は今、出先の営林署を統廃合し、各地の担当区を廃止し、……」
 
国有林野事業では、平成10年より、@公益的機能を重視した管理経営への転換、A組織・要員の徹底した合理化・縮減、B特別会計の見直し、C累積債務の本格的処理、を4つの柱とする抜本的改革に取り組んでいます。
ご指摘のあった、国有林野事業の組織については、この抜本的改革の方針に従い、公益的機能の重視や民間実行の徹底に対応した簡素で効率的な組織にするために、平成11年3月に229営林署を98森林管理署に再編しましたが、その際、現場の最前線で国有林野を直接管理保全する組織である森林事務所(全国に1256箇所。平成3年度までは「担当区」。)については従前どおり維持し、国有林野の管理経営に支障が生じることのないようにしております。
 
 
2 p104 4行目〜 「この残った1兆円を返済するために林野庁は……している。そして日本列島にかろうじて残されている最後の広葉樹林帯を切って赤字を埋めるというのだ。」
 
累積債務の処理については、累積した3.8兆円の債務のうち2.8兆円は一般会計に引き継ぎ、残りの1兆円は国有林野事業が負担することとしております。この1兆円の債務については、一般会計からの利子補給によりその累増を防止しながら、50年間で元本を返済していくこととしているところであり、その財源には、主として戦後造成してきた人工林と不要になった土地等から得られる収益を充てていく考えであります。
なお、ご指摘のあった、広葉樹林については、公益的機能を重視した管理経営に転換するとの方針の下、拡大造林(天然林を皆伐した跡に植林し、人工林としていくこと)を原則停止したところであり、水源のかん養や自然環境の保全等の公益的機能に十分配慮しながら、適切な保全・整備を進めていきます。
 
 
3 p109 3行目〜 「しかし林野庁はまだ今後40年をかけて、15万キロもの林道を整備する計画だ。CO対策としてもまちがっている。」
 
森林のCO吸収源・貯蔵庫としての能力を最大限発揮させるためには、保育、間伐等をきめ細やかに実施し、健全な森林を育成するとともに、そこから生産される木材を有効に利用することにより、その効果はさらに高められることとなります。林道がなければ森林に到達することさえできず、継続的な森林の維持管理に不可欠な日常の森林巡視や間伐などに必要な山の手入れができません。
 
 
4 p109 5行目〜 「1999年12月に総務庁は、大規模林道を建設している林野庁の特殊法人「緑資源公団(旧「森林開発公社(ママ)」)」の行政監察を発表し、96年度までの総事業費4200億円に対して、……木材の価格は約1600億円でしかないことを明らかにした。」
 
記事の表現は、行政監察において、大規模林道事業の事業効果が事業費を下回ると断じたかのような誤解を招く表現ではないかと考えます。
大規模林道の事業効果としては、木材生産の増進とともに、森林の整備の促進による森林の公益的機能の発揮、山村振興等があり、総務庁の行政監察も、事業効果を木材生産上の効果に限定しているものではありません。
なお、大規模林道事業においては、投入事業費に対する事業効果を定量的に検証するため、現在、費用対効果分析を実施しています。
 
 
5 p110 2行目〜 「しかし「見直し」がされたのは、……山形県で行われていた真室川〜小国区内(64キロ)のみであった。」
 
記事は、大規模林道事業において見直しが行われたのは1路線のみであるとしていますが、大規模林道事業においては、事業の効率化、透明性の確保に積極的に取り組み、費用対効果分析、再評価システムにより徹底的に見直しを行っているところであります。この結果、当初計画延長の3分の1に当たる延べ807kmについて見直し(延長の短縮320km、幅員の縮小487km)を行ったところであります。
 
 

( 申し入れ 3 )
 
 
平成13年8月27日
株式会社集英社
発行者 谷山尚義殿
農林水産省大臣官房広報室長
稲田 光
水産庁増殖推進部研究指導課長
中前 明
水産庁増殖推進部栽培養殖課長
井貫晴介
 
 
「いらない」に対する農林水産省の申し入れについて
 
 標記書籍については、下記の事項について、見解の相違を越えて、事実の間違いや名誉に関わる点があり、極めて不適切と考えられますので、記事の訂正を求めるとともに、本通知の内容については、著者である天野礼子氏にも確実にお伝えいただきますようお願いいたします。
 なお、この申し入れについては、国民に正しい認識を持っていただくためにも、当省のホームページに掲載し事実関係を明らかにしていくこととしております。また、貴社からの回答についても、同様に掲載したいと考えておりますのでご承知おき下さい。
 
 
1.p23 4行目〜 「…水産庁の長官(トップ)が『九州のノリの被害は何も有明海だけではない』などの主旨の発表をし…」との記載について
 
 (1)そのような発表をした事実はありません。
 (2)むしろ、水産庁としては、予断を持たずノリ被害の原因と対策を幅広く調査すべく、漁業者の代表を含む農林水産省有明海ノリ不作等対策関係調査検討委員会(第三者委員会)を早期に立ち上げ、検討を行っているところであり、「漁業者の側に立って論陣を張らなければならない水産庁が、農村振興局(旧・構造改善局)をかばった。」との記述は事実と異なります。
 
2.p24 1行目〜 「諫早の運動は、渡辺好明氏が環境庁の水質保全局長の折に全国展開していたが、環境庁はほとんど動かなかった」との記載について
 
 (1)諫早湾干拓事業は、農林水産省が行ったアセスメントに関し、環境庁として必要な意見を述べたところであり、また、同事業は政府の意志として行われたもので、そのことは当時の梶山官房長官によって内閣として改めて確認されており、一水質保全局長の影響力によるものではないと承知しております。
 
 (2)このアセスメントの環境庁側の当事者は企画調整局長であり、水質保全局長は担当外であり直接の権限は無いものと承知しております。
 
 
 

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