自然再生に関する、与党案と民主党案との対照表     (作:五十嵐敬喜)

 

 

 

    

与党案

     

民主党案

 

 

 

項目

 

 

自然再生推進法案要綱

 

自然環境再生臨時措置法案要綱(案)

 

 

 

目的

 

自然再生についての基本理念を定め、及び実施者等の責務を明らかにするとともに、自然再生基本方針の策定その他の自然再生を推進するために必要な事項を定めることにより、自然再生に関する施策を総合的に推進し、もって自然と共生する社会の実現を図り、あわせて地球環境の保全に寄与する。

 

自然環境再生についての基本理念を定め、及び国等の責務を明らかにするとともに、自然環境評価に基づき自然環境再生を実施するために必要な事項を定めることにより、自然環境の保全の視点を欠いた公共事業により破壊された自然環境の再生に関する臨時の措置を講じ、もって自然と共生する社会の実現を図り、あわせて地球環境の保全に寄与する。

 

 

 

 

定義

 

 

 

 

 

「公共事業」とは、公共事業基本法第2条第1項に規定する公共事業をいう。

 

 

 

 

「自然再生」とは、過去に損なわれた自然環境を取り戻すことを目的として、関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者等の地域の多様な主体が参加して、河川、湿原、干潟、藻場、里山、里地、森林その他の自然環境を保全し、再生し、若しくは創出し、又はその状態を維持管理することをいう。

 

「自然環境再生」とは、過去に対象公共事業により破壊された従来の生態系その他の自然環境を取り戻すことを目的として、関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者等の地域の多様な主体が参加して、河川、湿原、干潟、藻場、里山、里地、森林その他の自然環境を保全し、若しくは再生し、又はその状態を維持管理することをいう。

 

 

 

「自然再生事業」とは、自然再生を目的として実施される事業をいう。

 

「自然環境再生事業」とは、自然環境再生を目的として実施される事業をいう。

 

 

 

 

「土地の所有者等」とは、土地若しくは木竹の所有者又は土地若しくは木竹の使用及び収益を目的とする権利、漁業権若しくは入漁権を有する者をいう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

基本理念

 

.自然再生は、健全で恵み豊かな自然が将来の世代にわたって維持されるとともに、自然と共生する社会の実現を図り、あわせて地球環境の保全に寄与することを旨として適切に行われなければならない。

 

.自然再生は、関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者等の地域の多様な主体が連携しつつ、自主的かつ積極的に取り組んで実施されなければならない。

 

.自然再生は、地域における自然環境の特性、自然の復元力及び生態系の微妙な均衡を踏まえて、かつ、科学的知見に基づいて実施されなければならない。

 

.自然再生事業は、自然再生事業の着手後においても自然再生の状況を監視し、その監視の結果に科学的な評価を加え、これを当該自然再生事業に反映させる方法により実施されなければならない。

 

.自然再生事業の実施に当たっては、自然環境の保全に関する学習(自然環境学習)の重要性にかんがみ、自然環境学習の場として活用が図られるよう配慮されなければならない。

 

 

.自然環境再生は、健全で恵み豊かな自然が将来の世代にわたって維持されるとともに、自然と共生する社会の実現を図り、あわせて地球環境の保全に寄与することを旨として適切に行われなければならない。

 

.自然環境再生は、関係行政機関、関係地方公共団体、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者等の地域の多様な主体が連携しつつ、自主的かつ積極的に取り組んで実施されなければならない。

 

.自然環境再生は、地域における自然環境の特性、自然の復元力及び生態系の微妙な均衡を踏まえて、かつ、科学的知見に基づいて実施されなければならない。

 

.自然環境再生事業は、自然環境再生事業の着手後においても自然環境再生の状況を監視し、その監視の結果に科学的な評価を加え、これを当該自然環境再生事業に反映させる方法により実施されなければならない。

 

.自然環境再生事業の実施に当たっては、自然環境の保全に関する学習(自然環境学習)の重要性にかんがみ、自然環境学習の場として活用が図られるよう配慮されなければならない。

 

 

 

国及び地方公共団体の責務

 

国及び地方公共団体は、地域住民、特定非営利活動法人その他の民間の団体等が実施する自然再生事業について、必要な協力をするよう努めなければならない。

 

国及び地方公共団体は、地域住民、特定非営利活動法人その他の民間の団体等が実施する自然環境再生事業について、必要な協力をするよう努めなければならない。                                

 

 

 

    

与党案

     

民主党案

 

 

 

実施者の責務

 

この法律に基づいて自然再生事業を実施しようとする者(河川法、港湾法その他の法律の規定に基づき自然再生事業の対象となる区域の一部又は全部を管理する者からの委託を受けて自然再生事業を実施しようとする者を含む)は、基本理念にのっとり、自然再生事業の実施に主体的に取り組むよう努めなければならない。

 

 

対象公共事業に係る自然環境再生事業を実施しようとする者は、基本理念にのっとり、自然環境再生事業の実施に主体的に取り組むよう努めなければならない。

 

 

 

 

他の公益との調整

 

自然再生は、国土の保全その他の公益との調整に留意して実施されなければならない。

 

 

自然環境再生は、国土の保全その他の公益との調整に留意して実施されなければならない。

 

 

 

 

自然環境評価

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                                        

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

              

 

.中央自然環境評価委員会は、特定公共事業(事業費の総額が100億円以上で昭和55年以後に完了したもの)が自然環境に及ぼした影響その他必要な事項を勘案して、当該特定公共事業に係る自然環境再生を行う必要があるかどうかを評価しなければならない。

 

.環境大臣は、中央自然環境評価委員会が自然環境再生を行う必要があると評価したときは、当該評価に係る特定公共事業の実施場所を管轄する都道府県の知事及び当該対象公共事業に係る行政機関の長に対し、その旨及び当該評価の内容を通知しなければならない。

 

.都道府県自然環境評価委員会は、都道府県知事が環境大臣から通知を受けたときは、当該通知に係る対象公共事業が自然環境に及ぼした影響の詳細について評価しなければならない。

 

 

 

 

基本方針・基本計画

 

.政府は、自然再生に関する施策を総合的に推進するための基本方針(自然再生基本方針)を定めなければならない。

 

 

 

.自然再生基本方針には、次の事項を定める。

@自然再生の推進に関する基本的方向

A自然再生協議会に関する基本的事項

B自然再生全体構想及び自然再生事業実施計画の作成に関する基本的事項

C自然再生に関して行われる自然環境学習の推進に関する基本的事項

Dその他自然再生の推進に関する重要事項

 

.環境大臣は、あらかじめ農林水産大臣及び国土交通大臣と協議して自然再生基本方針の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

 

.環境大臣は、自然再生基本方針の案を作成しようとするときは、あらかじめ、広く一般の意見を聴かなければならない。

 

.環境大臣は、閣議の決定があったときは、遅滞なく、自然再生基本方針を公表しなければならない。

 

.自然再生基本方針は、自然再生事業の進捗状況等を踏まえ、おおむね5年ごとに見直しを行う。

 

.上記3〜5は、自然再生基本方針の変更について準用する。

 

 

.都道府県知事は、対象公共事業が自然環境に及ぼす影響の詳細が明らかになったときは、当該対象公共事業について自然環境再生基本計画を定めなければならない。

 

.自然環境再生基本計画には、次の事項を定める。

@対象公共事業の名称及び場所

A都道府県自然環境評価委員会の評価の概要

B当該対象公共事業に係る自然環境再生に関する基本的方向

C自然環境再生全体構想及び自然環境再生実施計画の作成に関する基本的事項

 

 

 

 

.都道府県知事は、自然環境再生基本計画を定めようとするときは、都道府県自然環境評価委員会の意見を聴かなければならない。

 

 

 

 



    

与党案

     

民主党案

 

協議会

 

.実施者は、下記2の事務を行うため、当該実施者のほか、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者、土地の所有者等その他の当該実施者が実施しようとする自然再生事業又はこれに関連する自然再生に関する活動に参加しようとする者並びに関係地方公共団体及び関係行政機関からなる自然再生協議会を組織する。

 

.協議会は、次の事務を行う。  

@自然再生全体構想を作成すること。

A自然再生事業実施計画の案について協議すること。

B自然再生事業の実施に係る連絡調整を行うこと。

 

.自然再生全体構想(次項参照)

 

.協議会の組識及び運営に関して必要な事項は、協議会が定める。

 

.協議会の構成員は、相協力して、自然再生の推進に努めなければならない。

 

 

 

 

 

.自然環境再生基本計画が定められたときは、下記3の事務を行うため、都道府県に、当該自然環境再生基本計画に係る自然環境再生協議会を置く。

 

.協議会は、次に掲げる者をもって構成する。

@当該都道府県の知事又はその指名する職員

A関係行政機関及び関係市町村の長又はその指名する職員

B地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者、土地の所有者等(土地若しくは木竹の所有者又はその使用及び収益を目的とする権利、漁業権若しくは入漁権を有する者)その他の当該対象公共事業に係る自然環境再生事業又はこれに関連する自然環境再生に関する活動に参加しようとする者

 

.協議会は、次に掲げる事務をつかさどる。

@自然環境再生全体構想を作成すること。

A自然環境再生事業実施計画について審査し、その結果に基づいて都道府県知事に意見を述べること。

B自然環境再生事業の実施状況を監視し、その結果に基づいて都道府県知事に意見を述べること。

 

.協議会の組識及び運営に関し必要な事項は、都道府県の条例で定める。

 

 

事業実施計画

 

.実施者は、自然再生基本方針に基づき、自然再生事業の実施に関する計画(自然再生事業実施計画)を作成しなければならない。

 

.自然再生事業実施計画には、次の事項を定める。

@実施者の名称又は氏名及び実施者の属する協議会の名称

A自然再生事業の対象となる区域及びその内容

B自然再生事業の対象となる区域の周辺地域の自然環境との関係並びに自然環境の保全上の意義及び効果

Cその他自然再生事業の実施に関し必要な事項

 

.実施者は、自然再生事業実施計画を作成しようとするときは、あらかじめ、その案について協議会において十分に協議するとともに、その協議の結果に基づいて作成しなければならない。

 

.自然再生事業実施計画は、自然再生全体構想と整合性のとれたものでなければならない。

 

.実施者は、自然再生事業実施計画を作成したときは、主務省令で定めるところにより、遅滞なく、主務大臣及び当該自然再生事業実施計画に係る自然再生事業の対象となる区域の所在地を管轄する都道府県知事に、当該自然再生事業実施計画の写し及び当該自然再生事業実施計画に係る自然再生全体構想の写しを送付しなければならない。

 

.主務大臣及び都道府県知事は、自然再生事業実施計画の写し及び自然再生全体構想の写しの送付を受けたときは、実施者に対し、当該自然再生事業実施計画に関し必要な助言をすることができる。

 

.上記3〜6は、自然再生事業実施計画の変更について準用する。

 

.対象公共事業に係る自然環境再生事業を実施しようとする者は、当該事業の計画が下記3の要件に該当する旨の都道府県知事の確認を受けなければならない。

 

.自然環境再生事業実施計画には、次の事項を定める。

@実施申請者の名称又は氏名

A自然環境再生事業の対象となる区域及びその内容並びにその年次計画

B自然環境再生事業の対象となる区域の周辺地域の生態系その他の自然環境との関係並びに生態系その他の自然環境の保全上の意義及び効果

Cその他自然環境再生事業の実施に関し必要な事項

 

.都道府県知事は、申請に係る自然環境再生事業実施計画が次の要件に該当すると認めるときは、確認をする。

@自然環境再生基本計画及び自然環境再生全体構想と整合性のとれたものであること

A@に掲げるもののほか、当該自然環境再生事業実施計画が自然環境の保全の観点から適切なものであること。

 

.都道府県知事は、3の確認を行おうとするときは、当該自然環境再生事業実施計画に係る協議会の意見を聴かなければならない。

 

 

    

与党案

     

民主党案

 

全体構想

 

自然再生全体構想は、自然再生基本方針に即して、次の事項を定める。

@自然再生の対象となる区域

A自然再生の目標

B協議会に参加する者の名称又は氏名及びその役割分担

Cその他自然再生の推進に必要な事項

 

 

.自然環境再生全体構想は、自然環境再生基本計画に即して、次に掲げる事項を定める。

@自然環境再生の対象となる区域

A自然環境再生の目標

Bその他自然環境再生の実施に必要な事項

 

.自然環境再生全体構想又はその変更は、協議会を組織する都道府県の議会の承認を受けなければ、その効力を生じない。

 

事業の実施

 

国の行政機関及び関係地方公共団体の長は、自然再生事業実施計画に基づく自然再生事業の実施のため法令の規定による許可その他の処分を求められたときは、当該自然再生事業が円滑かつ迅速に実施されるよう、適切な配慮をする。

 

 

.自然環境再生事業は、都道府県知事の確認を受けた自然環境再生事業実施計画に基づいて行わなければならない。

 

.都道府県知事は、事業の実施状況について自然環境再生協議会の意見を受けたときその他自然環境再生の適切な実施の観点から必要があると認めるときは、自然環境再生事業を実施する者に対し、自然環境再生事業実施計画の変更、当該自然環境再生事業の実施方法の変更等の命令その他の必要な措置を講ずることができる。

 

 

維持管理に関する協定

 

自然再生事業の対象区域の全部又は一部について自然再生に係る維持管理を実施しようとする実施者は、当該区域の土地の所有者等と協定を締結して、その維持管理を行うことができる。

 

 

 

実施者の相談に応じる体制の整備

 

主務大臣は、実施者の相談に的確に応じることができるよう必要な体制の整備を図る。

 

 

事業の進捗状況等の公表

 

.主務大臣は、毎年、自然再生事業の進捗状況を公表しなければならない。

 

.主務大臣は、自然再生事業実施計画の写し及び自然再生全体構想の写しの送付を受けたときは、これを公表しなければならない。

 

 

 

 

事業実施計画の進捗状況の報告

 

主務大臣は、主務省令で定めるところにより、自然再生事業実施計画に基づき自然再生事業を実施する者に対し、当該自然再生事業実施計画の進捗状況について報告を求めることができる。

 

 

 

財政上の措置等

 

国及び地方公共団体は、自然再生を推進するために必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努める。

 

 

 

自然再生に関するその他の措置

 

.国及び地方公共団体は、自然再生に関して行われる自然環境学習の振興及び自然再生に関する広報活動の充実のために必要な措置を講ずる。

 

.国及び地方公共団体は、地域住民、特定非営利活動法人、自然環境に関し専門的知識を有する者等が行う自然再生に関する活動の促進に資するため、自然再生に関する情報を適切に提供するよう努める。

 

.国及び地方公共団体は、自然再生に関する研究開発の推進、その成果の普及その他の自然再生に関する科学技術の振興を図る。

4国及び地方公共団体は、自然再生事業の実施に関連して、地球の環境と調和のとれた農林水産業の推進を図る。

 

 

 

 

 


    

与党案

     

民主党案

 

会議・委員会

 

政府は、環境省、農林水産省、国土交通省その他の関係行政機関の職員をもって構成する自然再生推進会議を設け、自然再生の総合的、効果的かつ効率的な推進を図るための連絡調整を行う。

 

 

.環境省に中央自然環境評価委員会を置く。

 

.中央自然環境評価委員会は、特定公共事業が自然環境に及ぼした影響その他を勘案して自然環境再生を行う必要があるかどうかを評価する。

 

.中央自然環境評価委員会の組識、所掌事務及び委員その他の職員その他必要な事項は政令で定める。

 

 

 

.都道府県に都道府県自然環境評価委員会を置く。

 

.都道府県自然環境評価委員会は、都道府県知事が環境大臣から通知を受けたときに、当該通知に係る特定公共事業が自然環境に及ぼした影響の詳細について評価するとともに、都道府県知事が自然環境再生基本計画を定めようとするときに意見を述べる。

 

.都道府県自然環境評価委員会の組識、所掌事務及び委員その他の職員その他必要な事項は都道府県の条例で定める。

 

 

主務大臣等

 

.この法律における主務大臣は、環境大臣、農林水産大臣及び国土交通大臣とする。

 

.この法律における主務省令は、環境大臣、農林水産大臣及び国土交通大臣の発する命令とする。

 

 

この法律の失効

 

 

 

 

 

 

 

この法律は、施行の日から起算して15年を経過した日にその効力を失う。

 

 

その他

 

この法律は、平成14年10月1日から施行する。

 

本法の規定の実施手続の詳細、施行期日その他必要な事項を定める。

 


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