自然再生法に対する見解


社民党         
衆議院議員  金子 哲夫 (党環境部会長)    

はじめに
 この見解は、第154通常国会提出の「自然再生法」にかかわるさまざまな論議の中で、私が個人的に考えていることを述べたものです。したがって社民党としての見解ではありません。党としては、予定される臨時国会に提出される法案に基づいてさらに協議し、最終的な態度を決定することになります。

1、 法案にあたっての基本的な考え
この間の公共事業によって破壊された自然を再生・回復することには異議はありません。しかし、「再生」についても重要であるが、より重要なことは、現在進められている公共事業、また予定されている公共事業の内、環境破壊を進めるものについて、それを中止、もしくは再検討することです。一方で「自然の再生」といいながら、他方でさらなる「環境破壊」が公共事業によって進むことは到底許されることではありません。残念ながら、本法案にはその点が抜けており、そのことをどうするのかについてまず論議すべきであると考えます。

2、 NPOの参加が強調されているが
この法案では、計画の段階から、そして事業参加を含めてNPOが、参加できることが強調されていますが、本当にどんなNPOでも参加できるのだろうかという疑問が生じます。また、NPOの実態を考えると、建設業界や自治体などが援助し、衣を変えたNPOが増えるのではないかと危惧しています。例えば「環境・・・」などという名称を使いながら、現に多くのNPOが介護保険を扱う事業体であったりすることを考えると、その疑問を持たざるを得ません。私自身NPOを否定するものではありませんが、「自然再生を単なる事業として考える」NPOが作られ、結局のところ、そうしたNPOが、この事業の中心になるのではないかという危惧を避けることはできません。

3、 進められる事業はどのように評価されるのだろうか
事業が進んだ際、中途でのいわゆる「事業評価」は、どのように行なわれるのか不明です。東電問題ではありませんが、チェックや評価を誰がどのように行うのかは極めて重要なことです。計画当初は「自然再生」の方向に進んでいたとしても、中途で問題が生ずることは多々あるはずであり、きちんとした評価を行ないながら進めることが、重要だと考えます。そしてその評価も、第三者機関が行えるようなシステムとしなければならないのではないでしょうか。

4、 誰でも「自然再生」を要求できるのか
 いったい誰が「破壊された自然の再生が必要な場所」と判断、もしくは指摘できるのかということです。
極端に言えば、これまで「自然破壊の公共事業」に反対してきた団体や個人によって提起されても、この法案での「自然再生事業」として取り上げられるのかということです。
 本法案では、「誰が自然再生を提起できるのか」という点が、今一つ不明のように思われます。

以上、緊急の要請でしたので、資料もないまま私の私見をまとめさせていただきました。
 党としては、さらにさまざまな環境団体の皆さんの意見を聞きながら、最終的な方針を決定していくつもりです。


                   


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