自然再生推進法案のゆくえ
2002年11月28日
天野礼子


参議院では、本日参考人招致が行われ、そのメンバーは
@足立圭子(グランドワークおおたかの森トラスト代表) 
A菅波完(日本湿地ネットワーク) 
B池谷奉文((財)日本生態系協会会長) 
C関口佳織(第二東京弁護士会公害対策・環境保全委員会委員)です。

この後は12月3日に政府と提案者への質問があり、民主党からは、
良識派の福山哲郎議員が質問者となります。
そしてその日のうちに採決となり、法案が成立する予定です。

それについて朝日新聞が本日11月28日(木)の朝刊全国版で
カラー写真入りの記事を以下のように書いており、私もコメントを出しました。

福山議員には「今回の法案についての民主党の対応は大変問題があり、遺憾である。
しかし現実として通ってしまうので,今後民主党は、"政権"を奪ってこの法案を『正しく改正する』ことと
『市民事業法案法案』を私たちと一緒に考えることに努力してほしい」と話すと、
彼は「私もその任を果たしたい」と約束しました。
彼のホームページはhttp://www.fukuyama.gr.jpです。



自然再生法案、足早成立へ
11月28日(木)朝日新聞朝刊全国版より

開発などで損なわれた自然環境の再生を掲げる自然再生推進法案が、
多くの環境団体から批判されながら、足早の審議で衆院を通過し、近く成立する見通しとなった。
議員提案した与党3党や民主党、さらに環境、国土交通、農林水産省という政官の利害が一致しているからだ。
ただ、従来型の公共事業の隠れみのに使われかねない、との懸念も根強い。

法案では、政府が自然再生の目標や具体的な事業を基本方針として決め、
都道府県など地域ごとに設けられる自然再生協議会が個別の事業の計画をつくる。
計画が所管官庁に認められると、財政資金が出る。協議会にはNPO(非営利組織)や地域住民などが加わる。
また、学者らによる自然再生専門家会議が政府の求めに応じて意見を述べる。

衆院環境委員会や参考人質疑、環境団体の申し入れなどから、いくつかの問題点が浮かび上がった。
特に、従来型公共事業への反省が明記されないことや、事業の決定過程があいまいだとの批判が強い。

参考人質疑では5つの環境団体が招かれ、霞ヶ浦で自然再生に取り組む「アサザ基金」(茨城県)や、
「千葉の干潟を守る会」(千葉県)などのメンバーが「懸念を持つ団体からもっと意見を聞くべきだ」「時限立法が望ましい。
事業の中止規定も必要」などと主張した。
だが、これらの懸念に対し、答弁はかみあわなかった。

法案の作成から各省折衝、国会審議の想定問答づくりまで立ち働いたのは環境省だった。
公共事業へ省の関与を広げることができ、環境にもプラスとの立場からだ。
自然再生事業をすでに抱える国交、農水省は「国民受けする自然再生を前面に出せば予算獲得にもプラス」(国交省幹部)と歓迎した。

法の施行が12月(その後修正で来年1月)とされたのも、
「来年度予算のためにも早く成立させたい」(自民・谷津義男衆院議員)との狙いからだ。
民主党は公共事業の見直しを掲げるものの、
この法案では前国会の終盤で与党と修正合意して提案者に加わり、答弁側に回ってしまった。
民主党の前原誠司衆議院議員は「本来は与党と対決すべきだったかも知れない」と悔やむ。
民主や社民党内からは「もはや付帯決議や答弁などで歯止めをかけるだけだ」との声が出ている。

「公共事業チェックを求めるNGOの会」代表・天野礼子さんの話 
政府・与党が、無駄な巨大事業や国土破壊を続けながら自然再生といっても説得力がない。
法案では環境アセスメントが省略される点が問題だ。NPOが参画するというが、
行政を批判する市民団体を県知事がNPO法人として認可するか疑問。
逆に建設会社などはお手盛りでNPOをつくれる。

以上


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