****** KJCニュース ≪スイミー≫ No.109 ******  2006.1.29

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♪「スイミー」を配信しておりました事務局のPCの不具合のため、
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その後、配信停止のご連絡をいただいた方には申し訳ありません。
大変お手数ですが、もう一度事務局まで、ご連絡ください。


   〓「日米ダム撤去委員会」第2回国際会議のご案内〓

私共「日米ダム撤去委員会」は、2006年2月7日(火)に、国会の第2議員会館
において、第2回国際会議を開催いたします。

アメリカよりは、ハリケーン「カトリーナ」の真相を語るために、米国最大のダムの
ロビィスト集団「アメリカンリバース」より、その河川政策担当者が来日します。
オランダでは、1970年より使っていたハーリングフリート河口堰の撤去が始まり
ました。その担当であるオランダ国土交通省の役人が来日します。
欧米では、20世紀に正しいと信じて進められていた“治水法”である、河川の直線
化や、洪水を強い堤防で封じ込める手法、治水のためにダムをつくるとすることに
は無理があり、まちがいであったことが近年、反省されています。

日本では、熊本県が球磨川にある荒瀬ダムの撤去を2008年より始めますが、日
本の国土交通省河川局は、欧米のような反省をしようとしません。
一方、2004年夏の日本列島各地の水害後は、河川工学者たちが口々に「ダムよ
りも堤防強化の方をやるべきであった」と言い始めました。なぜでしょうか。それは
「ダム」ならば自治体の負担が一割で済むので、地域の“治水”がダム案に依存して
いた故に、弱体化した堤防の強化がなおざりになっていたからです。

これは“治水”の問題ではなく、我国の“政治”と“自治”のあり方を公共事業から
問うものではないでしょうか。


◆主旨文
 
2004年は日本の各所で「水害」が頻発し、多くの人命が失われた。
これまでにあまり例のない、短時間に強い雨が狭い流域に集中するという
雨の降り方で、地球温暖化が要因であるといわれた。
各河川流域では、破堤によって人命が失われたことに対して、「急な増水は、
上流のダムからの放水が“悪さ”をしたのではないか」「ダムができて安心と
思っていたのに人命が失われた」などの声が挙がり、これまでは無言であっ
た河川工学者たちが各地で、新聞社のインタビューに答えて「堤防強化を早
くやるべきであった」「ダムに頼った治水に限界があった」と語り始めた。

なぜなら、わが国では、堤防強化が地方自治体の負担になっているところが
多く、それゆえ自治体は、自費負担となる「堤防強化」よりも“三割自治”(三割
だけ自己負担であとは国が出してくれる)といいながら実際は“一割自治”で済
む、「ダム」を推進してきた。それゆえ、「ダム案」がある間は、「堤防強化」が
なおざりにされてきたという現実が全国であったのだ。

2004年の各地の水害は、そのような「堤防強化」をなおざりにしてきた日本の
「ダムに頼った治水」の弱点を明らかにした。
一方、アメリカでは今年2005年夏に、ミシシッピ川がハリケーンに襲われ、
1993年時と同じように堤防が破壊して、多くの人命が失われた。イラク戦争
に戦費を使いすぎて堤防強化など治水対策がなおざりになっていたのではな
いかと、被害に遭った人々は、ブッシュ大統領に怒っている。

1993年のミシシッピ川・ミズリー川での水害では、アメリカの治水を担当する
陸軍工兵隊が、国民に謝罪した。「自分たちや地方自治体が“治水”によかれ
と思って川をまっすぐにし、強い堤防を造ったために、人々がそれまでは住まな
かった洪水氾濫原に住んでしまい、予測しなかった洪水で堤防が破れた時、
大きな被害に遭ってしまった。これからはこの洪水氾濫原に住まないでほしい。
住みたい人は自分で洪水保険に入ってほしい。大切なものは2階に置くなど
自分で洪水対策をしてほしい。」というものだった。
そして、もう人々が近くに住んでしまっている堤防は強化するしかなかったのだが、
それが、戦費への導入で、あとまわしになっていたということだろう。

また、ヨーロッパでは、2002年夏に、ドイツでは100人、ロシア黒海沿岸では
55人の死者を出し、オーストリア・チェコでは数十万人が被災した大水害があった
のだが、ドイツでもEUでも反省されたことは、洪水の氾濫原を人間が川から奪って
いた河川政策のあやまちであった。

オランダでは、2000年に、ハーリングフリート河口堰という、1970年より使
用されていた河口堰の撤去が決定され、2005年より開始され、海岸と河口
をすべて人工化し、洪水を堤防に閉じ込めてきたことが反省されている。

「日米ダム撤去委員会」は第1回国際会議を2004年3月に松本市で行ない、
アメリカのダム撤去の現状と、日本において「ダムが水害をひきおこしている」
例を紹介した。
今回は、アメリカからは、ミシシッピ川のハリケーンの現状と併せて、中型ダム
にも進みつつあるダム撤去の現状を報告いただく。オランダからは、2005年
から始まったハーリングフリート河口堰の撤去事例、日本の研究者からは2004
年新潟水害などの事例を報告していただく。

「日米ダム撤去委員会」については以下のホームページを参照下さい
http://damremoval.com/


◆「日米ダム撤去委員会」第2回国際会議

    〜国際的にも求められている“治水論”の大転換〜

  ―2005年ハリケーン「カテリーナ」へのアメリカの反省、
オランダの河口堰“撤去”と比較し、2004年日本列島水害と日本の
          “治水”と公共事業を点検する―

(敬称略)

●主催 日米ダム撤去委員会

●協力 民主党
      公共事業チェック議員の会   

●日時 2006年2月7日(火) 12:00〜5:00

●場所 衆議院第2議員会館・第2会議室

●総合司会  百瀬敏昭(「日米ダム撤去委員会」委員・東海大学講師)

●プログラム

・主催者挨拶                                
            
・ 「ダムをめぐる日本と欧米の現状の違い」 
    天野礼子(「日米ダム撤去委員会」事務局長・アウトドアライター)   
     
・ 「ハリケーン“カテリーナ”への反省と、アメリカのダム撤去の現状」 
    アメリカンリバース(アメリカ最大のダムのNGO・河川政策担当者)

・ 「オランダは、なぜハーリングフリート河口堰を撤去するのか」   
    オランダ国土交通省

・ 「2004年日本列島水害が教えること」              
    大熊孝(「日米ダム撤去委員会」委員・新潟大学河川工学教授) 
                  
・ 「ダムへの堆砂による自然破壊と堆砂量予測の問題点」 
    岡本尚(「日米ダム撤去委員会」委員・植物生理研究者)
   
      〈休 憩  10分〉

・パネルディスカッション  「正しい“治水”を求めて」
  パネラー 
     アメリカンリバース 
     オランダ国土交通省       
     今本博健(京都大学名誉教授・工学博士)
     五十嵐敬喜(「日米ダム撤去委員会」運営委員・法政大学教授 )

  進行役  天野礼子

・取材記者および会場からの質問                


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