****** KJCニュース ≪スイミー≫ No.97 ******  2004.7.29

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│転載転送歓迎│
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☆━今日のお知らせ━━━━━━━☆

★新潟水害現場からのレポート
★長良川河口堰で海水溯上

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◆三条市・中之島からのレポート

♪山形県鶴岡市の市議で、元 神戸元気村副代表の草島進一さんによる、
先日の新潟豪雨の水害現場からのレポートをお送りします。


■7/17日、三条市■

深夜午前2時。三条市にはいる。車でぐるりとまわってみる。家がつぶれている。
たくさんの家財道具がすでに表にだされ乾かすのを待っていた。小雨がぱらつい
ている。

ぐるりぐるりと街の状況をみながらしばらくして、偶然にも県民福祉センターと
いうところに着いた。Kさんから、ボランティアセンターがたちあがったと連絡
のあった場所の名前だった、社会福祉協議会もあり、ここかと思った。

入ってみると2人のちょうど僕と同年代ぐらいの社教の職員の方が膨大な物資を
前にして迎えてくれた。センターの中にはいってみて良く見てみると一部の床の
一面が泥で茶色かった。そして、コピー機や、事務用デスク、椅子などが、積み
上げられていた。

「ここも水没したんです。私の車もここの駐車場においていたんですが、運転席
の窓ぐらいまで水没して今は動きません。そういえば、さっき通ったコロナの会
社の駐車場から、泥だらけの車が、つぎつぎと運搬車につまれていた。

「5千台ぐらいは、いっているんじゃないですかね」彼はいった。
五十嵐川の決壊を予期する人は誰もいなかった。あれよあれよという間に決壊。
100年に一度の洪水に備えるというダムが2つもあるのに、あのありさまだ。
 
その福祉センターには50名の避難民がいるのだと聞いた。「今日も、結構な雨
が降って、その住民の間では、また「きれた」とか、今度は上流部だとかデマ情
報もとびかって 結構おびえているんですよ。・・・車中泊。

朝、あけて、午前7時、Kさんからの電話でおきる。朝のうちに写真はとってお
いたほうがいい。アドバイスをうけ、写真をとってまわる。決壊の現場を見よう
と対岸に車をおいて歩くと、2人の中年女性が決壊した場所を指さしながら、話
をしていた。

「おはようございます」と話の輪にはいる。対岸すぐのところに暮らしていると
聞いた。「いきなり水があがってね。上の方のくぼ地が危ないとかいって騒いで
いたら、すぐにあの部分がきれたのよ。もう、ものすごい波でこわかったよ」
とにかく音がすごかった。と、今でもまだ濁流色の茶色い五十嵐川を指さして話
してくださった。決壊してからは、一日中ヘリは飛んでくるし、マスコミのテレ
ビはずっとはりついていて大騒動だったと聞いた。

決壊の現場にいった。大きなナイロン袋につめられた土のうが数百つまれ、その
決壊現場から100メートルぐらいの所には、ひっくり返った車が砂で埋まって
いたり、ぽつんと泥の真ん中に車や小屋が浮いているといった、状況。

そしてその周辺の家々は、地面から2メートルぐらいのところに泥の跡がついて
いた。「今のうちにだめになった家財道具をださなくちゃ」そうした家族たちに
よって懸命に、駄目になった家財道具が次々と表にだされている。

これは人手がいる。とても親戚縁者だけでできる片づけではない。

今朝の新潟日報。「きょうも大雨恐れ」とある。被災現場にこれ以上の雨がふら
ないように祈る。また、村上、鶴岡は今激しい雨が降っているようだが、無事な
ことを祈る。

7時で、相当の人が動き始めていた。運良く今朝は小さな晴れ間がのぞいている。
親戚の人、友人をかきあつめて、作業がおこなわれていた。

ボランティアセンターには、昨日、300名もの申し出があったそうだ。素晴ら
しい。また、市民の新しい文化をはじめよう。新しい自分、新しい日本に出会え
る現場が動き始めた。

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■7/18 新潟県中之島町■

「被害がより深刻な中之島町にボランティアセンターを立ち上げるぞ」との声が
けに早朝から中之島町に向かいました。町民文化センターのとなりにある木造の
体育館の中で、受付やニーズマッチング、資材など、ゾーンをおおよそ決め、看
板目印を書いたり役割分担をしつつ、僕は、朝からニーズ調査として被災地を歩
いてみました。

決壊し、泥流が町をのみこみ、車や家を押し流した現場。決壊個所から周囲約百
メートル。約30件は泥に押し流され、ほとんど家々は崩壊に近い状況。泥流で
おそらく押し流されたのだろう。車がところどころにひっくり返ったりしながら
泥にうまっていました。

そして昨日も雨のため午後5時に避難勧告がでて現場にいることを許されなかっ
た住民の人たちにとってもひさびさに天候が回復した今朝から本格的な復旧作業
といったところです。

中之島町は、町役場自体が水没したため、災害対策本部は、町民文化センター内
に設けられている。そのセンターから1キロもいかないところに最もひどい現場
があるため、ボランティアは徒歩で現場へ行く。

幹線道路沿いの被害のひどい場所には自衛隊が200人ぐらい、重機などを使い
ながら復旧作業をおこなっていた。そして路地に入ると、まだ水が完全に引かな
い中、また泥が厚さ約50センチも堆積している中で、全身どろだらけになりな
がら、住民の格闘がおこなわれていた。

親戚縁者、知人友人総結集で作業していたところはあったが、人手はいくらあっ
ても足りない。「ボランティアさんかい、何人でもいい、早く送ってくれ」と家
々で呼び止められる。

バケツリレーで泥を家からかきだす。水没し、泥まみれになったたたみや家財道
具を家からだす。土のう袋にいれて使い物にならなくなった財産をどんどん外に
つみあげていく。場所によってその様子もかなり異なるけれど、ほとんどの家々
で、いつ終るともしれない途方もないように思える作業に挑んでいた。
 
今日は、ボランティアの人数が千人を越えました。1190名。みんな戻ってく
るころには全身泥だらけになりながら、奮闘。高校生から、60代、と思しき老
若男女、志で集まった皆さんの大健闘。

「いやあ、とにかく現場はひどかったですね。精いっぱいやったけど、いつまで
かかることやら」これは現場からもどってくるボランティアのホンネだ。とにか
く現場に立つと、その深刻さがずしりとくる。でも、着実にみんなの力が現状を
いい方向に変えている。

神戸のときもそうだったけれど、被災者の方には、これから、いろんなものがふ
りかかっていく。自分の家に住めるようになるのか。住めたとしても、家財道具
は全部ゴミと化してしまった。それをどうするのか。

水没した車はどうするのか、家族はこのまま作業が続いても大丈夫なのか、火曜
日から会社だけれど、仕事ができる状態なのか。商店は再開できるのか、被災地
の現場の住民だけの特別の時間が流れ始めている。土手の川の向こうには、全く
別のフツー時が流れていることを思うと孤独感や、絶望感がつよくなっていくの
ではないだろうか。

東海豪雨の3倍ともいえるこの洪水は、かなりの長期戦といえる。まずは全国か
らの愛をゆっくりと、この近くて遠い被災地に、送り続けることが必要だ。

私のホームページに現場の画像をアップデートしています。どうぞご覧下さい。
http://www.kusajima.org
http://homepage.mac.com/stern8/PhotoAlbum2.html


■楽市楽座へのご協力をお願いします■

現在、現地では新潟豪雨復興支援のための無料フリーマーケット、「楽市楽座」の
準備がすすめられています。
皆さまの御協力をお願い致します。

http://www.soho-net.ne.jp/~tasukeai/rakuichi/


■三条市、中之島町の堤防決壊には、両方とも、上流部のダム放流の問題が
からんでいるようにも思えます。
これについては、専門家の先生方などを含め、追及していかなければならない
問題に思えています。

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鶴岡市議会議員
WaterWatchNetwork 代表
草島進一
stern8@mac.com
sternkusajima@docomo.ne.jp
http://www.kusajima.org
http://www.jca.apc.org/water-w
http;//www.gassan.jp  
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◆長良川河口堰で海水溯上

【中日新聞 2004年7月20日朝刊】
長良川河口堰の運用後初めて、堰の上流に海水が溯上した。
塩分量が増加したため、知多半島に向けた上水道の取水を取りやめ
木曽川からの愛知用水に切り替えた。

■この件に関し、河口堰現地の長島町町議の大森恵さんからのレポート

・経過と原因

18日夕方ゲートを全開操作すると海水が川を押し戻して海水が浸入した。
19日午前9時「長良導水(愛知県知多半島送り)」の取水停止。
21日午後1時取水開始。52時間送水停止。
この間ゲート操作をアンダーフローにして海水の排出を行い、塩分濃度1g中
5mgとなったので取水可能となった。
海水逆流の原因は、異常潮位で潮汐力が強かったため。
水道原水の基準は、1g中200mgまで。

・大森はこう思う

7月20日の発表では、塩分完全除去は次回のゲート全開まで待つ、と発表されて
いたが、にわかにアンダーフロー操作だけで除去できたのえあろうか不思議。
水資源機構では、海水逆流の原因に、判断ミスはないとしているが、夏から秋に
かけて海は異常潮位をたびたび繰り返している。異常降雨は異常気象のため、
今回初めての経験であろうし、取水のためには今後に課題を残しているだろう。
水は木曽川で十分間に合っており、無理に長良川の水を使う必要はないのだが。
長島町では、この取水口と合口で、「除塩用水」と称する、記事中では「農業用水」
としているが、内川浄化用に流して使っている水があるが、長良川で鯉ヘルペス
が発生して以来、取水は停止して一滴も町内にいれてないとの事。

♪大森さんには、9月18日夜の「長良川DAY」リレートークでも千本松原枯死の
問題やこの海水遡上のことについてご報告いただく予定です。


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