****** KJCニュース ≪スイミー≫ No.14 ******  2001.3.17

〈転載歓迎〉

今日のお知らせ
 ★長野で「脱ダムはぐぐむシンポ」
 ★下諏訪ダム住民アンケート
 ★信大教授らによる講演会
 ★十六万坪埋め立て推進派都議会議員収賄容儀にて告発
 ★訃報・岩垂寿喜男さん
 ★吉野川第十堰から
 ★川辺川へのうねり、海から山へ
 ★世界銀行への抗議文に賛同署名
 ★下筌ダム・松原ダム樹林帯、整備計画を承認
 ★市民投票に関する条例制定請求署名簿の提出
 
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◆「『脱ダム宣言』をはぐくむ緊急シンポジウム

県民有志でつくる実行委員会により、十三日に長野市内のホテル国際21で
「『脱ダム宣言』をはぐくむ緊急シンポジウム」が開かれ、治水や地方自治のあり方
を探るパネルディスカッションなどが行われた。
これは、田中康夫知事の「脱ダム」宣言をめぐる論議を深めるのが狙いで、
予想を大きく越える400人以上が集まり、この問題に対する関心の大きさが
うかがわれた。
まず、長良川河口ぜき建設反対運動の中心となったジャーナリスト天野礼子さんと
田中知事が時折名を挙げる新潟大学教授の大熊孝さん(河川工学)が基調講演を
した。大熊さんは「ダムを造っても、絶対に川があふれない治水はあり得ない。
ダム一辺倒でなく、例えば、命をなくさず、床上浸水にならない程度の治水を考えて
もよいのでは」と提案。天野さんは「県議会や県土木部などは事前に知事から相談
がなかったことを問題にしたが、あんな重要なことをどうして事前に相談できたで
しょうか」と知事の手法も支持した。
 その後の二人を交えた討論では、信大講師の関口鉄夫さんが「国や県はダム計画に
ばかり住民の目を向けさせ、大事な河川改修を怠ってきた」、エッセイストの玉村豊
男さんは「市民が治水のために何をなすべきかを真剣に議論するスタートに」、
作家のC・W・ニコルさんは「ダムを造ればサケは戻ってこない。生き物のサイクル
を大切にすべきだ」と主張した。    [2001年3月14日 信濃毎日新聞より抜粋]


◆下諏訪ダム地元住民へのアンケート

 一方、中止か否か論戦が続く下諏訪ダム問題。地元の下諏訪町民は
ダム建設の是非、田中知事の「脱ダム」宣言をどう受け止めているのか。
信濃毎日新聞社は町民百人に意見を聞き七日、結果をまとめた。
回答者数は七十人。建設には一割余が賛成、約六割が反対と回答。
ただ、「ダムの功罪が分からない」などとして三割近くが「どちらとも言えない」
という回答であった。
ダム建設に「賛成」は九人(一三%)
       「反対」が四十三人(六一%)
       「どちらともいえない」は十八人(二六%)

依然として多様な意見がある「地元の民意」の一端がうかがえる。
また、知事の「脱ダム」宣言は、賛成が反対の二倍近いが、発表手法を疑問視
する声が目立った。

脱ダム宣言は「賛成」三十二人(四六%)
         「反対」十七人(二四%)
         「どちらともいえない」二十一人(三〇%)
                          [信濃毎日新聞より抜粋]
下諏訪ダムに関しては、まだ「ダム」に代わる具体的な提案が示されていない
ため、「どちらともいえない」人が多いのも当然ともいえる。
今後は住民が安心して納得できる治水・利水の案が提示され、本当の意味での
住民参加での議論が望まれる。
それにしても、長良川河口堰の地元・長島町のアンケートでもそうだが、
「反対」や「どちらともいえない」という意見が多数を占めるのにもかかわらず、
声高に言われる「地元の悲願」というのは一体誰の、
何のための「悲願」なんだろう?


◆信大教授らダムと治水テーマに講演会 

 信大の教官有志でつくる信大自然災害・環境保全研究会は18日午前10:30か
ら、「河川と共生する治水」をテーマに長野市の信大教育学部で講演会を開く。
田中康夫知事の「脱ダム」宣言で治水への関心が高まっている中、幅広い研究成果
を紹介。論議の参考にしてほしい―と、一般の来場を呼びかけている。

講演;「環境問題と水利権」……………吉田隆彦・人文学部教授
     「緑のダムの経済効果」…………野口俊邦・農学部教授
     「ダム立地の地質学的問題」……小坂共栄・理学部教授
     (浅川ダム(長野市)と下諏訪ダム(諏訪郡下諏訪町)予定地の地盤の様
     子を紹介しながら、立地条件について語る。)
    「河川による浸食とたい積作用の歴史」…赤羽貞幸・教育学部教授
     (犀川と姫川の例からダムのたい砂問題)
    「浅川の治水計画の問題と総合的治水対策について」
                  ……京大防災研究所・上野鉄男助手

同研究会は、84年の県西部地震を機に、信大学内の横断的な学習グループとして
発足。本年度は、都市災害や火山活動など3回の会合を開いている。
幹事の三宅康幸・信大理学部教授は「研究者として、政治家とは違う立場から冷静に
発言したい。同時に、県内でいろんな調査や研究に携わっている以上、判断材料提供
の責任がある」と話している。入場無料。講演の後は質疑応答も行う。

              
◆十六万坪埋め立て推進派都議会議員収賄容疑にて告発

 3月13日、都議会議員大西英男議員(自民・江戸川区選出)及び、
マリコン3社が、受託収賄罪の疑いで、東京地方検察庁に告発されました。
告発人は、ジャーナリスト・久慈力氏、船宿経営者・日下博史氏、江戸前の自然を
守る会・田巻誠氏、鶴巻進氏の4名。告発の趣旨は、以下の通りです。
「マリコン3社の代表取締役3名は、東京湾臨海副都心開発事業である、有明北地区
埋立事業を早期に推進することを目的として、1998年と1999年に大西議員に対して政
治献金を供与し、大西議員は臨海副都心開発と有明北地区埋立事業の推進のために、
議会で度々質問を繰り返した。
2000年8月に有明北埋立事業は認可され、マリコン3社はそれぞれが埋め立て工事を落
札し、公職に関する賄賂の収受、供与を禁止している刑法第197条及び第198条に違反
し、贈収賄容疑に当たる。」
 大西議員といえば、2000年3月のと議会特別委員会で、「埋立事業は職住近接を実
現させる、きわめて意義の高い事業」と積極的に埋め立て推進を唱え、挙げ句の
果てに、「本当にハゼの楽園といえるのか」「それこそハゼの最後の処刑場みたいな
もの」と発言し、つり関係者を初め、十六万坪を愛する市民にも激しい怒りをかっ
た、彼の氏です。
前港湾局長・浪越勝海氏の「ここではハゼは天ぷらになって食べられてしまう」との
発言に、相乗りしたつもりだったのでしょうが、これらの発言は、一般的な感性を持
つ人ならば、強い不快感を受けたはずです。
このような、厚顔無恥振りをサラケ出せる裏に、賄賂が絡んでいたとすれば整合性が
伺えます。
このことは、埋め立て反対派にとって、久しぶりの追い風です。
この機を逃すことなく、真相を追求、解明し、この推進派からも汚点の付いた埋め立
て工事を、一刻でも早く中止に追い込めるよう、働きかけていきましょう。
折しも、都議会開催中。まずは、視察いただいた都議員各氏からの、厳しい追及を
お願いします。
また、各関係団体各位へのの転載、大いに歓迎いたします。よろしくお願いします。

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とらじゃ
江戸前の海十六万坪(有明)を守る会
http://www.ne.jp/asahi/edomae/save/
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◆訃報・岩垂 寿喜男さん

元環境庁長官、元社民党衆議院議員の岩垂 寿喜男氏が7日午前11時30分、
心不全のため神奈川県鎌倉市の病 院で死去されました。71歳。長野県出身。
72(昭和47)年に衆院議員に初当選して8期務められ、また、75年、 超党派
の自然保護議員連盟を結成し、初代事務局長を務めるなど環境問題をライフ
ワークにし、96年の橋本連立内閣で環境庁長官を務めました。
日本野鳥の会副会長。

『急逝された岩垂さんは、故山下弘文さんと総評時代の
 お仲間だったようで、環境庁長官になられた折、
 すぐに会いに行ったと山下さんが話されていたのを思い出しました。
 「ご本人は厚生大臣をやりたかったようだが、
 せっかく環境庁長官になったんだから、思い切って
 諫早を中断させたら歴史に残ると言ってきた」と
 例のように豪快に笑っていました。
 むろん、そのときの岩垂さんが何をお考えだったか知る由もないし、
 あまりに短命な(村山内閣?)長官時代でなすすべもなかったのでしょう。
 今ごろ、お二人は「再会」して、有明海の復活の道筋を語り合っておられる
 気がします。』        (JAWAN 辻敦夫氏)

『 97年の東京でのシンポの折、岩垂さんが「諫早問題では環境庁長官
 時代に何もお役に立てなかったのを悔やんでいる」と客席から発言な
 さっていたのを思い出します。』      (HANYU Yozo  wrote)


『日本野鳥の会副会長で愛知万博による環境破壊を心配していた。
 二年前、万博予定地だった森からオオタカが見つかったときは、
 電話で「森の保全を第一に、万博計画を根本的に変えなければなら
 ない」と、万博後の住宅団地計画の撤回、跡地の国営公園化を語っていた。
 提案は関係省庁や愛知県、市民グループに一石を投じた。
 昨年、パリの博覧会国際事務局(BIE)が団地計画に懸念を持
 っていることが明るみに出ると、事態は急展開した。
 結局、団地計画は中止、万博は大幅縮小となった。森は国営かど
 うかはともかく、公園として残す方向になった。岩垂さんは「時代
 を画す転換だ」と、率直に喜びを表した。
 環境庁長官時代、期待が大きかった分、市民グループから批判が
 なかったわけではない。しかし、やせた体で熱っぽく環境を語る引退後の姿は、
 親近感を抱かせ、若々しかった。
 「二十一世紀は世界で水問題が深刻になる。環境万博ではぜひ、
 水もテーマにしたいね。シンポジウムとか、いろいろ考えているんだ」
 そんな電話を受けたのは昨年夏だった。その続きを話そうと思っ
 ていたのに、もはやかなわない。残念だ。〈斉〉』 (朝日新聞「窓」より) 


◆吉野川第十堰シンポのお知らせ  
   ―― 市民合意の創造 −− 第 十 堰・市 民 参 加 を 考 え る−−

吉野川第十堰をめぐる、徳島市での住民投票以来、建設省の可動堰計画
はあいまいな"白紙"という状況に陥ったまま今日に至っている。
結局、第十堰問題の根元は、第十堰、更には吉野川全体の河川管理のあり方
についての政策決定が、その影響を受ける市民が参加してなされなかったこと
にあった。第十堰問題は、吉野川全体の、そして、その一部である第十堰につ
いての政策決定が、市民参加の下で行われることが必要なことを明らかにしたの
である。
そこで、当会は、去る平成12年10月4日、第十堰とその周辺の河川管理のあり方
に関する政策決定が真の意味で市民参加によりおこない得ると評価しうるシステムを
検討し、これを「あるべき第十堰検討会(提言)」として発表した。
http://www.mandala.ne.jp/usrs/sakamoto/Pages/teigen/teigen.htm

当会の提案している「第十堰検討会」を一つの素材にし、21世紀における
市民参加による公共的政策意思決定のあり方を展望しながら、第十堰問題に
おける市民参加による合意形成のシステムを構想したいと考え、
下記のシンポジウムを開催する。

 日 時;平成13年3月17日(土)13:30〜16:30
 場 所;「シビックセンターホール」(プラネタリウム館)
         徳島市JR徳島駅前アミコビル4階
          電話088−626−0408 
 シンポ次第
  ◇報    告   13:30〜15:15           
     *原科幸彦 (東京工業大学教授・IAIA理事日本代表)
     *大平一典 (国土交通省徳島工事事務所所長)
     *津川博昭 (市民アセスメント徳島会員・弁護士)
     
  ◇シンポジウム  15:25〜16:30           
     *テーマ  「行政政策決定への市民参加のあるべきシステム」
     *パネリスト     上記報告者
     *コーディネーター  藤原猛爾
       (弁護士・日本弁護士連合会公害対策環境保全委員会委員長・  
       立命館大学非常勤講師)

詳しくは 
◇◇ 市 民 ア セ ス メ ン ト 徳 島 ◇◇◇◇◇
    (旧称:吉野川第十堰市民環境アセスメントの会)
http://www.mainichi.co.jp/eye/feature/details/nature/board/2001/0302.html
http://www.mandala.ne.jp/usrs/sakamoto/
    −提案している代替案を掲載しています−


◆川辺川へのうねり、海から山へ

先月末の総代会で球磨川漁協に漁業補償契約の締結を拒否された国交省は
今、慌てふためいている。ダム容認派で総代の三分の二を押さえ、強行突破を
図ったのだが、容認派と見られていたうちの数人が反対に回ったのである。
その原動力となったのは、折りしも発表された「脱ダム宣言」と、八代海の海の
漁民たちの怒り。
球磨川が注ぐ不知火海(八代海)の漁民たちが隣の有明海での海苔被害と
漁民たちの抗議行動を見て、2月中旬、「球磨川が汚れれば、海もだめになる。
今立ち上がらんと手遅れになる」と、ダム反対総決起集会を開いたのだ。
「おれたちはタカや虫以下か!」国交省が昨年6月に発表した自然環境への影響
調査結果は、絶滅が心配されているクマタカや珍しい昆虫には触れたが、八代海
は対象外だったことに漁民の怒りが爆発した。
海で起こったこのうねりは、国交省の作戦を見事にくつがえしつつ、山へと
大きく広がっている。


◆世界銀行に対する抗議文への賛同署名

KJCは、「ベルン宣言」の海外NGOから、WCD(世界ダム委員会)最終報告に対し
否定的な態度をとり続ける世界銀行・ジェームズ・D・ウォルフェンソン頭取宛ての
抗議文を送ることへの賛同を求められましたので、天野代表と相談の上、署名を
送りました。
抗議文の詳細をお知りになりたい方は事務局までご連絡ください。


 ◆下筌ダム・松原ダム樹林帯、整備計画を承認
        ―― 全国初 ―― 「緑のダム」効果か?

国土交通省が大分、熊本両県にまたがる下筌(しもうけ)、松原両ダム周辺に
全国で初めて導入した「ダム樹林帯制度」で、樹林帯整備計画が承認された。
2001年度から5〜7年計画で用地買収や整備事業に着手する。
この制度は1997年の河川法改正で創設。
(1)ダム湖への土砂、濁水、流木などの流入防止
(2)耐風性に優れた森林の整備と造成
(3)観光資源となる 美的景観の保全
(4)野性動物の生息環境保全――などが目的。
両ダム周辺は1991年の台風19号などで膨大な風倒木被害に遇い、
全国に先駆けて指定された。関係町村は大山、天瀬町、中津江、上津江村、
熊本県小国町。
整備計画検討委員会(委員長、平野宗夫・九州大名誉教授)が5日、日田市内
で開いた第2回会合で整備計画を承認した。計画によると、ダム湖から50メー
トル前後の民有林計104ヘクタールを買収。森林生態系保全、生活環境保全、
観光資源保存の3ゾーンに分類し、当面整備が必要な36カ所(9・74ヘクタ
ール)の裸地や荒廃地などに広葉樹を植えてゆく。整備後の管理は「地元町村や
森林組合、ボランティアの協力が不可欠」とし、制度を理解してもらうためのイ
ベント開催、除間伐材の林産物利用などを提言している。
平野委員長は「初めて取り組む湖畔林づくりが全国の後続ダムの模範になるよ
う期待する」と述べた。【楢原義則】
[ふるさと特急便(2001-03-07)<大分版> from:毎日新聞社]

 
◆市民投票に関する条例制定請求署名簿の提出
 
市民の税金を万博や新空港、徳山ダムにつかうことの是非を問う
市民投票に関する条例制定請求署名簿の提出をいたします。
関係者並びに関心のある方、是非参加下さい。

 日 時:3月19日(月)午後3時 〜 
 内 容:標記請求の署名簿・本提出の報告 
 ところ:名古屋市政記者クラブ・会見
 
 ☆なお先だって、下記の行動を実施します。
 2時40分頃:市長あて本請求の書類提出
<市役所本庁舎5F正庁:段ボール箱入署名積み上げ>

破産寸前の財政とゆるみきった政治の変革を願う、心ある庶民の悲痛ともいえる声を
集めた1ヵ月の活動の結晶「条例制定請求署名簿」を怒りを込めて正式に提出しま
す。

 ●連絡先:「市民投票を実現する会」事務局長:伊豆原 直
  пi052)917−3330/Fax(052)917−3331

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┃各NGOからのお知らせ等に関しては、お問い合わせ・その他については
┃それぞれの連絡先へお願いします。
┃内容についてKJCがすべての責任を負うものではありませんので、
┃その点はご了承ください。
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  公共事業チェックを求めるNGOの会 
      tel 058-272-8495
      fax 058-271-8279
     http://kjc.ktroad.ne.jp/
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