VOL29-5

官業考
  村瀬惣一

 我々住民運動側は、一人で次から次へと仕掛けられる攻撃に対応しています。敵も同じ、その官僚機構(地方自治体を含む)を維持するために新たな企画を立てて攻撃をかけてきます。
一つずつの争点で決着をつける必要はない。長良川で敗れれば揖斐川で、揖斐川で敗れれば木曽川で、官僚機構(この場合はダム官庁)を屈服させればよいのです。
 では長良川河口堰反対運動にはどんな"総括"があるのか。ある時期、中濃から岐阜・大垣方面に大量の工業用水の需要が見込まれたことがあった。主として繊維産業の増加に起因すると見られたわけです。やがて日本の繊維産業や金属軽工業は中国と韓国に圧倒される。繊維や資財多消費型の金属工業は途上国に途を譲るべき産業なのです。いわゆる「先進国」の活路はICその他の先端技術であることはいうまでもない。日本に求められるのは高度の学理と技術であって資財や水や電力ではない。木曽川水系の工業用水(その他電力も諸資財も)でもないのです。
 工業用水需要がまだ増加すると主張されている官庁は−本心ではないと思うが−日本の工業部門は依然として1960年代の延長線上にあるとホントに信じておられるのであろうか。

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