★ 長良川ネットワークメールニュース★
2002年6月23日 vol. 3

●漁業補償に漁協そっぽ 長良川河口堰のアユ人工孵化施設
2002年6月12日 読売新聞 中部本社 社会面 

 ◆遡上増期待できず 建設に5億 子供の水遊び場に

 三重県長島町の長良川河口堰(ぜき)近くに、国と水資源開発公団が約五億円をか
けて建設したアユの人工孵化(ふか)施設が、この三年間、利用されないまま放置さ
れている。上流の岐阜県や同県の漁協との間で、施設をどこが運営するのかはっきり
決めないまま建設を進めたうえ、その効果は不明として漁協側もそっぽを向いている
のが原因とみられる。

 この施設は、孵化したばかりの仔(し)アユが海へ下る途中、河口堰上流の取水口
で減少するなどして、アユ漁への影響が懸念されたことから、漁業補償の一環として
一九九三年四月、河口堰に併設して右岸河川敷に着工、九四年九月に完成した。

 施設の中心は、長さ約百メートル、水深約〇・八メートルの人工河川で、幅が二
メートルと五メートルの二本ある。河口堰の影響で減った仔アユを補うため、秋にア
ユの成魚から採取した卵をシュロの葉に付着させ、孵化した仔アユを水路でつながっ
ている長良川に流す。

 建設費は旧建設省(現・国土交通省)と公団が五割ずつ負担し、公団負担分は、愛
知、三重の両県と名古屋市が二〇一八年までに財務省に償還する。

 施設の運用について公団や岐阜県水産振興室は「岐阜県内の七漁協に任せるという
認識だった」と説明する。これに対し、長良川漁業対策協議会会長の松野幸昭県議は
「公団や県が運営するものとされてきた」としており、施設が利用されない背景に
は、双方の認識の違いがあるとみられる。

 公団は九四年から五年間、約二億六千万円をかけて孵化実験を行った。六―八割は
孵化したが、アユの遡上(そじょう)数が増加につながったか、科学的な検証はでき
ていない。

 実験に続いて実用化が予定されていたが、卵を採取するアユの購入費などは、年間
一千万円程度かかるため、漁対協では「アユの遡上数の増加につながるのか効果が不
明確で、今のままでは引き受けられない」としており、利用のめどは全く立っていな
い。

 施設の一部は使用されないまま、専ら子どもらの水遊び場になっている。

 河口堰問題に詳しいサツキマス研究会代表の新村安雄さん(48)は「仔アユの生
残率(一定期間の生存率)を調べたが、産卵最盛期の九月下旬は(孵化施設の)水温
が高く、ほとんどの卵にカビが生えて死んでしまった。人工河川の構想そのものが場
当たり的に出され、計画自体に無理があったのではないか」と指摘する。

● お知らせ
 
五十嵐敬喜(法政大学教授)の市民版憲法作成シリーズ  学集会第2回
が、下記の日程で行われますのでご案内します。今回は、「環境権」について
の講演です。
 
日時:6月25日(火)18:00〜20:00 (入場無料)
場所:全水道会館 3階 大会議室 (TEL 03-3618-4198)
基調講演 「環境権」 五十嵐敬喜
ゲストスピーカー   筑紫哲也 前原誠司 
進行         高野孟
詳しくは 憲法どっとこむ http://www.kenpou.com をご覧下さい。


環境権   「市民の憲法」五十嵐敬義 (早川書房) より抜粋   

―憲法は将来の不安に答えることができるか?―
 日本は現在、10年を超える不況で意気消沈しているものの、今でもGDPでは
世界第2位の超大国であり、世界で最も豊かな国の1つである。にもかかわらず、
豊かさを実感できないのはなぜか。不況以外にも多くの原因があった。まず住環
境がひどい。緑が少なく空気は汚染され、いつ原因不明の病気に冒されるかもし
れない。将来の生活に希望がもてないといった不安が覆っている。
 
 この不安は、自分を取り巻く周囲の環境に対してあまりに受身であり、何一つ変
えることができないということからも来ている。もし自分の行動によって、環境を変
えることができるのであれば、それは希望の源となる。
 
 現行憲法は、敗戦後の日本人に夢と希望を与え、進むべき道を示した憲法であっ
た。
とくに、「健康で文化的な最低限度の生活」(25条)の保障はそうであった。「最低
限度

生活」をおおむね手に入れた今、「環境権」という新たな夢と希望を与える権利の保
障が
もとめられる。
          

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長良川河口堰建設に反対する会

〒500-8432 岐阜市なわて町2-2 
Tel 058-272-8495  
Fax 058-271-8279
nagarask@mx1.ktroad.ne.jp
http://nagara.ktroad.ne.jp



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