長良川ネットワーク メールニュース VOL.5 2002-9-5

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│転載転送歓迎 │
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「“自然再生事業”と公共事業改革に対する市民意見集約のための緊急勉強会」
のご案内

今、ダムを始めとして、道路、空港など、これまでの公共事業のあり方が議論されな
い日はありません。
先日の長野の下諏訪町長選では、私たち全国のNGOが長い間とりくんできた“脱ダ
ム”の理念が証明され、知事選においても、全候補者が“脱ダム”に賛成を表明する
という事態になっています。日本の縮図といわれる長野でのこれらの現象は、これか
らの日本を予告しています。
それでは、「ダム」「道路」「空港」など全ての公共事業を見直すために不可欠な根
本的な改革について、私達市民は国に対してどのようなシステムを提案し、どのよう
な働きかけができるでしょうか。

去る7月7日、長良川DAYにおいて初の全国NGO会議がもたれ、与党が上程し
た、「自然再生推進法案」についての対応が話し合われました。その折に、出席した
NGOや市民運動家たちにより、「自然再生と市民事業を提案する委員会」の発足が
決まりました。「公共事業チェックを求めるNGOの会」では、次国会で再び提出さ
れると予想される「自然再生推進法案」をめぐる動きを見据えつつ、私たち市民や
NGOが本当に納得できる「自然再生事業」と「市民事業」について、みなさんと一
緒に考え、NGOの意見や要望を集約していきたいと考えています。

是非9月16日(月・祝)に総評会館において行なわれる五十嵐敬喜教授との緊急勉
強会にご参加ください。


                  ━━ 記 ━━

「“自然再生事業”と公共事業改革に対する市民意見集約のための緊急勉強会」

〇日時  2002年9月16日(月・祝)PM2:00〜5:00
〇場所  総評会館201会議室
       〒101-1052 東京都千代田区神田駿河台3-2-11
       пi03)3253−1171
      ●営団地下鉄千代田線 新御茶ノ水駅
      ●営団地下鉄丸ノ内線 淡路町駅
      ●都営地下鉄新宿線 小川町駅
       (丸ノ内線と都営新宿線をご利用の方は千代田線方面 へ)
       いずれもB3出口より徒歩0分
      ●JR中央線・総武線 御茶ノ水駅
      (聖橋出口)徒歩5分
〇講師 
 ・ 五十嵐敬喜(法政大学教授)
 ・ 鮫島宗明氏(民主党環境委員会委員)など
 ・ 保坂展人氏(社民党公共事業調査会)など
 ・ 共産党のどなたか
 ・ マスコミ諸氏


〜お願い〜
〇五十嵐敬喜教授の「“市民事業”と“自然再生法”について」の説明文が
  こちらに  http://kjc.ktroad.ne.jp/020901iga.html  あります。
  それをお読みになった上で、「市民事業」と「自然再生法」についてお考え
  ください。

ご参加いただける方は、こちらの↓申し込み書
 http://kjc.ktroad.ne.jp/020901mousi.html   の各項目をお書きの上、
「公共事業チェックを求めるNGOの会」   kjc@mx1.ktroad.ne.jp
まで、E−メール、またはFAX、郵送でお申し込みください。


「自然再生法案のゆくえ」                      天野礼子

7月末に終了した国会では、与党が「自然再生推進法案」を出して、これを環境省が
一部の議員やNGO・NPOに根回しをするという状況が起こっていました(与党案なのに
これはおかしいのです)。
「自然再生法案」が、先国会に出てくることを最初に報道したのは日経新聞で3月で
した。
その頃与党内では公明党の田端議員が、自民党亀井派と官僚が作文しつつある「自然
再生法案」に対して対案を考えていました。この案は自然再生事業はすべて環境省が
とりしきるというもので、悪くない考え方でしたが、すぐに自民党案に飲み込まれて
しまい、環境省は、国土交通省・農水省と協力して進めるが、法案を提案する窓口や
賛成をまとめる義務を負うといったことになりました。
“自然再生推進法案”ができることについて一番熱心に動いたのは環境省でした。そ
してNGOにはこんなささやきが広がりました。「この法案は、自然環境局長の小林さ
んと、国土交通省河川局長の竹村公太郎さんがいる間に成立させないと、二度と日の
目を見ない(この二人とも7月に役人をやめています)。多少至らないところがあっ
ても、あとから修正してゆけばよいではないか」。

実は、これと同じようなことが、1997年に橋本内閣で「省庁再編案」が出てきた
時に起こっています。国土庁・運輸省・建設省・北海道開発庁が合体して7万人の強
大開発官庁、国土開発庁が出現しようとした時、当時自民党と連立を組んでいた社民
党とさきがけに対して、「国土開発庁はできるが、かわりに環境庁が環境省に出世す
るのだからいいじゃないですか」という根回しがおこなわれたのです。
社民党とさきがけは省庁再編に賛成してから、政権を離脱しました。離脱するなら
「省庁再編反対」も理由にすればよかったのですが……。
社民党にこの時の反省があるのかどうかわかりませんが、今回の与党の自然再生法案
にはきっぱりと「反対」を表明されています(共産党も「反対」です)。

一方、民主党にも相当以前から環境省よりレクチュアが入っていたようで、5月に朝
日新聞が全国版一面記事で、与党案があやしいことを指摘し、6月に毎日新聞も社説
で批判すると、ようやく与党案に対案を出すべきという五十嵐さんや私の意見が聞き
入れられ、衆議院環境委員会に属する鮫島宗明さんが「破壊環境再生臨時措置法」と
いうものをつくられました。公共事業によって破壊された環境を、破壊した官庁の予
算で再生するというものです(この後名前が「自然環境再生臨時措置法」と変えられ
てしまう)。民主党はこれを対抗案として、与党案に反対している社民党や共産党に
賛同を求めて提出し、あくまで与党案に反対するべきでした。そして7月末の国会終
了間際まではなんとかその方向で進んでいました。ところが終了日前日になって、と
んでもないどんでん返しが起こりました。
衆議院の環境委員会の委員をしている民主党の大石正光氏が与党と話をつけて、次回
国会で、与党の「自然再生推進法案」と民主党の「自然環境再生臨時法案」を協議の
上合体させ、与野党の共同提案として提出することになってしまったのです。「ネー
ミングも似ているしいいではないか」といわれているようですが、似ていなかった
ネーミングを民主党のNC(ネクストキャビネット)で似たようなネーミングにしてし
まった人物は誰なのでしょうか。その人物が大石氏と共に、「小林光自然環境局長と
河川局の竹村局長がいる間にこの法案を通してもらわないと二度と与党から“自然再
生法案”は出ません」などというレクチュアを受けたのかもしれません。

いずれにせよ、大石氏にはずいぶん前から、「与党が出す自然再生法案を大石氏が環
境委員長として、議長提案で環境委員会にはかり、与野党が全員賛成する」というふ
うにしてほしいとお願いがあったようです。委員長提案で協議ということになると一
日くらいしか審議せず、NGOやマスコミが騒がないうちに通してしまえるからでしょ
う。
実際上は、社民党と共産党が「反対」を表明してくれたため、「委員長提案で全員賛
成」という目はなくなったのですが、それでも次国会では冒頭から与党と民主党が大
石環境委員長の仲介で二つの案を協議の上で合体させて通す(社民・共産が反対して
も)ということが進むことになっているのです。
民主党の新しい代表が誰になるかわかりませんが、この状況をひっくり返す実力を
持った人物が代表になることが必要でしょう。

さて。このような状況ですので、私達NGOは急ぎ、国会開会(10月初旬)まで
に、NGOとしての「自然再生法案」への対応と、五十嵐氏の提案する「市民事業」を
含めた公共事業改革へ向けての「市民の意見の集約」をする必要があると考えます。
いくつかの新聞社の方々にも、私達NGOがそういった集約をするための集会を東京で
持てば参加していただけるかどうか当たり、出席するとのお返事をいただいていま
す。
そこで、上記のように勉強会を持ちたいと考えますので、皆さんお忙しいでしょう
が、是非、皆さんの団体から代表をお送りください。もちろん、個人としてのご参加
も歓迎いたします。

長良川河口堰建設をやめさせる市民会議
長良川河口堰建設に反対する会
http://nagara.ktroad.ne.jp/
nagarask@mx1.ktroad.ne.jp



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