天野礼子のニュース解説
2001年11月9日


本日(11月9日)、午前中の国会質疑で、民主党の菅直人氏の質問に答え、国土交通省河川局は、「川辺川での密室での(現地工事事務所と球磨川漁協の)”着工同意”は、無効である」と認めました。
菅さんらが、先般川辺川を視察し、現地事務所で役人とやりあったことが背景となっての成果ですが、それだけではない事情が自民党内などで生まれつつあるようなので、それをお知らせします。

@愛媛県の山鳥坂ダム現地では知事が「水需要の想定に無理があったといわざるを得ない」と発言。大洲市における住民投票で、”日本一”の51%の有効投票があったことが影響していると考えられる。が、もっと遠いところからの何か一言があったとも考えられる。

A熊本県の知事も、川辺川ダムに関する漁業組合の拙速な対応を非難。この人も自ら動く人ではないので、遠いところからの発言があったと考えられる。

B自民党では、国土交通部会が要求して、河川局がヨーロッパから専門家を呼び、11月6日に、「川に蛇行を取り戻す」ことや「溢れてもよい治水」を、レクチュアした。竹村公太郎河川局長は悔しそうに、「こんなことはヨーロッパの一部の河川で起きていることに過ぎない」との主旨を話したという。

以上のことから考えられるのは自民党が、「いつまでもダムを推進と言っていても、小泉改革で大きな事業は止められる。こうなったら、自然再生の小さな地元事業で生き残るしかない」と、個人個人の国会議員が考え始めたということではないだろうか。

官僚は自ら政策を変えることはできないが、政治家は聡いということなのだろう。

今ほどNGO側に「小異を捨てない(でよいから)、大同団結する」ことが求められている時は、ないのではないか。         


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